シャープは,エアコン「Y-SXシリーズ」7品種と「Y-SVシリーズ」5品種に搭載する,人に風を直接当てない冷房方法について,健康効果の実証試験を行い,その結果が大阪健康サービス産業創造(OHS)協議会の発行する「癒し快適エビデンス推奨マーク」を取得したと発表した。OHS協議会は,健康サービス産業の創出に向けて産官学と医師会などが集まり協力する団体で,シャープは同団体の一般会員のうちの一企業である。
OHS協議会は,健康サービス産業に向けた支援活動の一つとして,健康関連製品の「癒し」や「快適性」といった効果について,科学的根拠(エビデンス)に基づいた実証実験により社会的,科学的に意義が認められる製品に対し,いわゆるお墨付きを与える「癒し快適エビデンス評価・支援センター事業」の開始を同日,発表している。シャープのエアコンの事例が同推奨マークの第1号である。
医療機器以外の製品の場合,臨床試験で効果が得られると確認できても,薬事法違反となるため製品の健康効果をうたうことはできない。今回の推奨マークは,科学的に評価が認められる非医療機器については正当にユーザーに訴求したいという健康機器関連企業の要望に応えたもので,実証実験の「結果報告書」や「論文」などに推奨マークが発行される。取得するには,科学的な根拠に基づいた実証実験に加え,医学系学会誌で論文が採択されることが必要であるという。
今回のエアコンの場合,冷房時には放射熱を発する天井や側壁に冷風を当てて冷やす方法を採用している。人に風が当たらないため,冷え過ぎが抑えられ,快適性が高いとする。同社ではこうしたエアコンの効果について,人の血流量や体温,快適感などを医学分野で使われる実験手法により検証したという。この実証実験に基づく論文は「日本補完代替医療学会誌 第6巻 第1号(2009年2月)」に「つつみ込む気流制御エアコンの健常女性における健康維持および疲労に対する有用性」として発表されている。