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 「あまり緊張するタイプではないが,昨日の夜は眠れなかった」

 インターネット接続事業などを手掛けるフリービットの石田宏樹社長は,2009年5月14日に開いた戦略説明会でこう切り出した。

 同社はこの日,米Apple社の携帯電話機「iPhone 3G」用の通信ソフトウエア「ServersMan@iPhone」の最新版(1.1b)を発表した。同ソフトは,iPhoneをインターネットからアクセス可能なWebサーバーにするソフト。既存のIPネットワーク上に仮想的なネットワークをセキュアに構築する独自の通信技術「Emotion Link」を使う。

 最新版では英語に対応すると同時に,米国にゲートウエイ機能を実現する通信拠点を設置。最新版ソフトを米国の「App Store」でも無料で入手できるようにした。石田社長が眠れなかったのは,創業当時からの夢だったIT(情報技術)による“米国進出”を実現する日だったからだ。

 現地対応のほかに新たに取り入れた仕組みは,ServersManのプラットホーム上で動作するアプリケーション・ソフトの開発環境。今回,同社はパソコン音楽再生ソフトと音声録音ソフトの2つのソフトを自社開発し,最新版に標準搭載した。今夏にも,外部の開発者向けにソフトウエア開発ツールなどを公開。自由にアプリケーション・ソフトを開発できるようにする。

 既に1.1bの次世代版である「ServersMan@iPhone 2.0b」を開発済みで,Apple社の審査待ちであることも明らかにした。次世代版は,仮想ネットワーク内で複数ファイルを並行して交換できる仕組みを導入しており,「通信スピードが2倍になる」(石田社長)という。

 米Microsoft社の携帯電話向けOS「Windows Mobile」向けにも「ServersMan@Windows Mobile 1.0b」を無償提供を国内で始めた。同社のサイトでダウンロードできる。英語版や中国語版の開発もほぼ終えており,今年中にも米国や中国で提供開始する計画だ。

 iPhone向けと同等の機能のほか,外付けの小型メモリ・カードをネットワーク・ストレージとして利用できる機能や,他のアプリケーションを使いながらバックグラウンドでServersManを常駐できる機能を加えた。「Windows Mobile端末の出荷台数は世界で5000万台,1700万台のiPhoneに比べ,大きな市場が期待できる」(石田社長)。このほか,米Google社の組み込み向けソフトウエア群「Android」向けに開発中のServersManのデモも見せた。

 フリービットは,デジタル家電をWebサーバーにする通信ソフト「ServersMan mini」の提供も始めている。携帯電話機だけでなく,デジタル・カメラやビデオ・カメラ,デジタル・フォトフレームなど多くの機器に搭載し,ServersManの利用者を広げたい考えだ。今夏をメドにヘビーユーザー向けの課金サービスなどを開始し,収益化を図る計画。2012年4月期に現状の3倍程度となる300億円の売上高,経常利益45億円を目指す。