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質問に答える大坪社長と上野山 実取締役
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方向性として,新市場,既存事業,ボリューム・ゾーンをキーワードに掲げた
方向性として,新市場,既存事業,ボリューム・ゾーンをキーワードに掲げた
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グループとしてエネルギー事業を強化する
グループとしてエネルギー事業を強化する
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薄型テレビ事業は2009年度1550万台を狙う
薄型テレビ事業は2009年度1550万台を狙う
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 「基本的な考えは,ボリューム・ゾーンを“安物”という言い方をしない」。15日に開催した2008年度決算発表(Tech-On!関連記事)の席で,パナソニック代表取締役社長の大坪文雄氏は,BRICsやベトナムに次ぐ新興国市場に対する戦略について,現地のニーズに合った製品を現地中心に設計・生産すると答えた。「新興国で一番求めている商品を探し出し,従来にない発想で設計し,最小限のロジスティック・コストで作る。ロスのない設計をし,スペックを切り,パートナーとの新しい連携」が重要とした。

 大坪氏は,インドTata Motors社の低価格乗用車「Nano」(Tech-On!関連記事)の例を引き,「サイド・ミラー一つ,ワイパーが1本しかない,といった設計でも,現地では『希望のクルマが手に入った』とされている。あこがれのブランドになっている。マジョリティが欲しいと思う製品を生み出すことが重要だ」とした。このために,「『イタコナ』と呼ぶ原価低減活動(板金やプリント基板などの「イタ」と,樹脂などの「コナ」の低減を指す)の本格的な展開はこれから。もの作りを改革し,新興国で一番求めている商品を探し出すというマーケティングがベースになる。これを元に従来にない発想で設計・生産する」とした。「ボリューム・ゾーンに取り組まないと成長が見込めない。しかし,高付加価値商品をやめるというわけではない。ダイナミック・レンジを広げて商品開発を進める必要がある」とした。

 市場開拓では,けん引役であるBRICsとベトナムで前年比113%の売り上げ増を計画する。またこれに次ぐ新興国市場として,インドネシア,メキシコ,ナイジェリア,バルカン諸国などを挙げ,戦略を本格化するとした。

既存事業のパッケージ化も成長のけん引役に

 同氏は,既存事業もパッケージ化することで総合力を発揮できるとした。4月に発足させたシステム・設備事業推進本部では,「例えばこれまで地域販社でセキュリティ用カメラを単体商品で扱ってきたが,これをパナソニックとして,グループや環境関連ビジネスとしてパッケージとして地域に提案していく。いろいろなパートナーから手を挙げてもらえた。事業の組み方を変えることで,大きな成長のけん引役になれる」とした。また欧州における白物家電も,予想外のオーダーが入ったとする。

エネルギーを成長の柱に

 三洋電機の子会社化後に特に,「エネルギー関係を成長の柱にしたい」(同氏)とした。単に電池事業にとどまらず,家やビル全体をエネルギー・マネージメント・システムとして幅広い展開をするとした。グリーン・ニューディール関連の世界の動きを見ると「2012年で営業利益で400億円のシナジー効果が見込めると発表したよりも大きなシナジーを生み出せる可能性があると個人的には感じている」とした。

薄型テレビはチャンス

 同氏はまた,薄型テレビの事業には2010年,2011年にチャンスがあるとした。「第1四半期は,日本では前年を上回る見通しだし,北米はPDPが1.4倍以上,液晶はほぼ3倍,欧州は前年比をクリアし,ロシア・中近東は大きく割る。アジア大洋州はそれぞれ1.5倍と2.6倍,中国はPDPが2.5倍,液晶が90%程度である。台数ベースでは順調にけん引していると考える」とした。

 2009年度は尼崎の第3工場と姫路工場の建設や価格下落,為替問題などがあり,テレビ事業は赤字が少し残るとする。しかし,「ここ数年は2500万~3000万台近い伸びが見込まれるのに対して,他社が生産販売を増やすという計画を立てていない。ここは踏ん張りどころで,2009年度に1550万台をやり切ればまた見えて来る」(同氏)とした。

ドメインを越えたコラボレーションのための役員交流

 今回,6月25日付けで取締役人事として,パナソニック電工代表取締役副社長の野村淳二氏がパナソニック常務取締役へ就任する人事が発表された。これについて大坪氏は,「事業構造にとって,ドメインをまたがるコラボレーションが大事である。家まるごと提案というビジネスは,ドメイン単体は基本だが,成長のビジネスはドメインをまたがるところにある。パナソニック電工とのコラボレーションは順調に進んでいるが,事業を加速し,両社の知恵を絞って新しい知恵を生み出し,世界中の市場を押さえて行くため,コラボレーションの強化として野村氏に就任していただく予定にした」とする。