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注目論文の位置づけを説明するプログラム委員 日経BPが撮影。
注目論文の位置づけを説明するプログラム委員 日経BPが撮影。
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 2009 Symposium on VLSI Circuitsが6月16日-18日に京都で開催される。その注目論文を,プログラム委員会が報道機関向けに発表している(Tech-On!関連記事)。以下に,それらの論文の概要を紹介する。

 同委員会は注目論文を六つの群に分けて紹介した。(1)人間(ヒト)やバイオ・メディカル,(2)LSI高信頼性維持,(3)回路-実装協調,(4)3次元積層メモリ,(5)低電力A-D/D-A変換,(6)その他である。なお,半導体技術の国際会議「Symposium on VLSI Technology」の注目論文はこちら

低消費電力のバイオ・メディカル用チップ

 (1)の人間(ヒト)やバイオ・メディカル向けの回路技術に関しては,四つの論文が紹介された。まず,米Massachusetts Institute of Technology(MIT)が開発した,脳波測定用の超低消費電力SoCである(論文番号6-3)。測定した情報を処理するプロセサを集積したことで,チップ外部との通信量を従来比で1/43に低減した。このチップでは受信アンプのオフセット誤差を補正し,微弱な脳波を測定可能にしたという。

 米University of Michiganは人工網膜への適用を狙った,低電圧駆動で低消費電力のイメージ・センサを開発した(論文番号17-1)。パルス幅変調を用いて,ピクセル値をデジタル・データとして読み出すことで,0.45~0.7Vでの低電圧動作を可能にした。128×128ピクセルのテスト・チップを0.5V,0.5fpsで駆動させたところ,消費電力は700nWだった。

 韓国KAISTは,動作安定性の高いウエアラブルな誘導結合トランシーバを開発した(論文番号4-5)。例えば,布と布の間にアンテナとなるインダクタを入れた場合,ヒトが動いたり,布をつかんだりして,布が変形すると,通信が影響を受ける。KAISTはインダクタンスを監視して,リアルタイムに補正する技術を開発した。

 NECは,従来比で10倍の速度・電力性能を持つBAN(body area network)無線トランシーバを開発した(論文番号4-4)。シングル・キャリア伝送と同等の電力ながら,マルチキャリア伝送を実現して高いデータ・レートを確保した。従来の受信回路では熱として捨てていた電波エネルギーから電力を回収して,効率を高めた。