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図1 東京都市大学が試作した水素エンジン・バス
図1 東京都市大学が試作した水素エンジン・バス
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図2 車体構造
図2 車体構造
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図3 車体後方にエンジン部
図3 車体後方にエンジン部
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図4 車体右後ろ側から水素を充填
図4 車体右後ろ側から水素を充填
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図5 運転席左側に設けた漏洩警報装置
図5 運転席左側に設けた漏洩警報装置
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 東京都市大学は,2009年5月20日に開幕した「人とくるまのテクノロジー2009」(5月20~22日)で,試作した水素エンジン・バスの試乗会を実施した(図1)。同車両は水素のみを燃料とするバスとして日本で初めて,2009年2月に国土交通省から型式認証を取得している。水素燃料用のタンクやエンジンを搭載することで車両重量が約300kg増えるため(図2),走り出しはやや鈍く感じたが,走行音などは普通のディーゼル・バスより静かな印象を受けた。

 日野自動車の「リエッセ」をベース車両とし,ディーゼル・エンジンを改造して,水素燃料に対応させた(図3)。天然ガス車などへの改造を手がけるフラットフィールドの協力を得た。パワー・トレーンは排気量4.7L,最高出力105kWの直列4気筒ターボインタークーラーSOHC水素エンジン。エンジンのトルクは370Nmである。水素エンジンで課題となるバック・ファイアー(逆火)の発生および出力低下について,東京都市大学の研究室が開発した点火ケーブルと過給を組み合わせることで解決した。

 開発した車両は,屋根に35MPa水素タンクを6個配置し,水素を74L貯蔵することができる。2009年2月から開始した走行実験では,水素1充填当たり約205kmの走行結果が得られているという。水素の価格は,1充填当たり「約5万円」(同説明員)と,ガソリンなどに比べて非常に高い。水素の補給は,経済産業省が実施する「水素・燃料電池実証プロジェクト(Japan Hydrogen & Fuel Cell Demonstration Project)」で運営している燃料電池車向けの水素ステーションを利用する(図4)。これは,燃料電池車用を想定して作られているため水素の純度が99.99%以上と高い。「今回開発したバスは水素の純度は90%ほどでも十分走ることから,将来的には水素の価格を数十分の1に抑えられると考えている」(同説明員)。

 型式認証の取得には,安全性の確保必須だったため,エンジンや水素タンクは市販品を採用して信頼性を高めた。さらに,水素の漏洩検知器を3カ所に設置し,異常時には運転席左側に設けた漏洩警報装置(図5)で警告音と光で運転者に知らせる機能を備える。