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図◎三つの付加価値を盛り込んだ合わせガラス用中間膜。遮音性と遮熱性に加えて,ヘッド・アップ・ディスプレイ向けの視認性の機能を備える。
図◎三つの付加価値を盛り込んだ合わせガラス用中間膜。遮音性と遮熱性に加えて,ヘッド・アップ・ディスプレイ向けの視認性の機能を備える。
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 積水化学は,遮音性と遮熱性を備えた合わせガラス用中間膜に,ヘッド・アップ・ディスプレイ向けに視認性に優れる「S-LEC」シリーズ「SSF-W」を開発し,2009年5月20日からパシフィコ横浜で開催されている「人とくるまのテクノロジー展」に出展した(図)。オプション設定などでヘッド・アップ・ディスプレイを用意するクルマのフロントガラスの中間膜に使う。静音化と遮熱性,ヘッド・アップ・ディスプレイの視認性の三つの機能を付与した中間膜は世界初。ホンダの「インサイト」やトヨタ自動車の「プリウス」,ドイツBMW社の「7」シリーズなどに採用された。

 新しい中間膜は3層構造で,遮音層の上下を遮熱層で挟む。厚さの比は3対2対3。この中間膜の上下をさらにガラスで挟み込んでフロントガラスが出来上がる。従って,完成品は5層構造となる。

 ただし,ヘッド・アップ・ディスプレイの視認性を高めるために,厚さを変えた。フロントガラスを縦方向に断面を取ると,下端が最も薄く,上に向かうにつれて厚みが増していく「くさび形」となっている。中間膜の厚さでみると,下端は0,8mmで上端は1mmを超える。

 フロントガラスの下側から照射する蛍光表示管の文字や矢印などの光は,経路の異なる二つの光として運転者の目に入る。車内側のガラス(内側のガラス)で反射する光と,内側のガラスと中間層を透過し,車外側のガラス(外側のガラス)で反射した光だ。これらの光は,先のくさび形状により,運転者の目の位置でちょうど重なる。その結果,速度の数字や進行方向の矢印などの情報が,2重ににじんだりせずに,きれいに見える仕組み。

 なお,遮音層と遮熱層は共にPVB(ポリ・ビニル・ブラチール)製。遮音層はこれに添加剤を入れ,加工方法も工夫して柔らかくした。これにより,外側のガラスの振動を遮音層が吸収し,内側のガラスに伝わる振動を少なくして静音化する。特に遮音効果が高いのは,人間の耳によく聞こえる1000~4000Hzの中周波領域。

 一方,遮熱層はPVBの中に,直径がnmオーダーのインジウム系微粒子をほぼ均一に分散させた。波長が800~1800nm程度の赤外線をインジウム系粒子が吸収して蓄熱し,クルマが走行して外側のガラスが冷えると同粒子が放熱する。特に,1400nm近辺の遮熱効果が高く,肌をじりじりと刺激する暑さを和らげる。