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図 三菱電機 執行役社長の下村節宏氏
図 三菱電機 執行役社長の下村節宏氏
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 三菱電機は2009年度の経営戦略について,厳しい見通しの中,環境関連事業などに注力しつつ,世界各国の経済対策による需要を着実な獲得を目指す見解を明らかにした。経営方針の大幅な変更は行わないという。

 同社は,2008年前期まで,順調な回復・成長を続けてきた。例えば,売り上げ原価率は2004年から2007年にかけて75.1%から73.0%へと低減し,営業利益に対して850億円の効果があったとする。同社が経営目標として掲げる「営業利益率5%」は,2006年度,2007年度と達成できていた。ところが,2008年度下期から状況が一変し,2008年度は営業利益率が3.8%に落ち込んだ。2009年度は1.7%にまで下がる見通しだ。「着実な努力が奏功する」結果が見え始めていた段階とし,同社執行役社長の下村節宏氏は悔しさを見せた。

 こうした不調の中,期待を集めるのは環境関連の製品だ。同社は環境関連事業の売上高に対して年平均8%の成長を見込んでおり,2015年には1兆3000億円に達するとしている。「現在の市況の悪化があっても,ほぼ予定通りに進みそうだ」(下村氏)。例えば,中国のエアコン市場では政府の施策によりインバータ化が加速しており,その影響で中国におけるエアコン向けパワー・デバイスの生産は2009年4月に過去最高となったという。

 太陽光発電システム事業は,好調だったスペイン市場が一転悪化するなど,今は踊り場になっている状態だが,近々回復し拡大に転じるとみる。太陽電池については,2011年に600MWの生産体制を整える計画は予定通り進めるとする。欧州では,ヒートポンプを使った給湯・暖房設備「Air to Water事業」の立ち上げを進める。燃焼式のボイラーに比べてCO2排出量が少ないヒートポンプの特徴に加え,同社製品の持つ-25℃でも+60℃の温水を作れる特長を生かし,英国や北欧といった寒冷地を中心に売り込んでいく計画だ。社会インフラシステム事業の中,電力も堅調だ。北米の設備更新と新興国の電力不足解消のための需要が旺盛であるためだ。そのため,タービン発電に向けた生産投資110億円も確実に進めるとする。

 世界各国で実行されつつある,経済対策の効果も得られ始めた。中国では政府が経済対策として自動車購入に大幅なインセンティブを与えている影響から,自動車部品の販売が急増し,生産数量は過去最大になっているとする。日本国内でもエコポイント制度の効果が出始めているという。

 ルネサステクノロジについては,2008年度に900億円超のインパクトがあったとする。2009年度には経営改善を進め1000億円の収益改善を見込むが,市況の不調が続くため,2009年度の赤字はやむをえないとの見方を示した。今後は,技術面や営業面での支援などを通じて,自力での回復を期待するとする。公的資金による救済策のうち,融資については選択肢の一つになりうるとの可能性を見せた。

 人員について,不調の産業関連や自動車関連の部門であっても,リストラなどは考えていないとする。むしろ,「我が社ではいわゆる2007年問題が2009年に生じる。事業の継続や戦略強化のため,今年も例年通りの採用を続ける」(下村氏)とした。