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セル変換効率が23.0%のHIT太陽電池
セル変換効率が23.0%のHIT太陽電池
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変換効率の測定は産業技術総合研究所で実施
変換効率の測定は産業技術総合研究所で実施
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Voc,Isc,F.Fのすべてを高めた
Voc,Isc,F.Fのすべてを高めた
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このペースでセル変換効率25%の達成を目指す
このペースでセル変換効率25%の達成を目指す
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 三洋電機は,セル変換効率が23.0%の「HIT(Heterojunction with Intrinsic Thin layer)太陽電池」を開発した(関連記事)。実用サイズの太陽電池セルとしては,世界最高のセル変換効率とする。今回開発した技術は,既存の生産ラインの改良で量産適用が可能なため,2~3年後に実用化できるとした。

 三洋電機は2007年9月に,セル変換効率が22.3%のHIT太陽電池の開発結果を報告していた(関連記事)。この値がこれまでの最高だった。三洋電機は,2年足らずで0.7ポイント高めたことになる。なお,変換効率の測定は,産業技術総合研究所で実施した。

 22.3%から23.0%に高めるために,同社は(1)単結晶Siセル上にアモルファスSi薄膜を形成する際のダメージ抑制によるキャリアの再結合の減少,(2)アモルファスSi薄膜と透明導電膜のそれぞれの光吸収抑制による光吸収損失の減少,(3)電極材料の低抵抗化とアスペクト比の向上による抵抗損失の減少を図った。

 (1)の効果で開放電圧(Voc)を従来の0.725Vから0.729Vへ,(2)の効果で短絡電流(Isc)を従来の39.2mA/cm2から39.5mA/cm2へ,(3)の効果で曲線因子(F.F.)を従来の0.791から0.80へ高めた。

 三洋電機は,今後の開発計画も示した。既存技術の延長で,セル変換効率25%の実現は可能という。2007年9月の22.3%から今回の23.0%に高めたのと同じペースでの25%の実現を目指す。その後は,量子ドットや波長変換材料などの次世代技術と組み合わせることで,結晶Si型太陽電池の理論変換効率である29%を超える。

 セル変換効率で世界最高値を更新した三洋電機だが,課題は早期の量産適用にある。三洋電機と変換効率を競う米SunPower Corp.は,モジュール変換効率が19.3%と世界最高値の太陽電池モジュールを2009年7月に発売する(関連記事)。これに対して,三洋電機の製品のモジュール変換効率は17.0%(セル変換効率は19.7%)にとどまっている。

 三洋電機は2008年9月の学会でモジュール変換効率が20.6%(セル変換効率は22.3%)の試作結果を披露しているものの,今回の会見で「20.6%のモジュールの量産には,しばらく時間がかかる」とした(関連記事)。ある調査では,2008年の太陽電池生産量で,SunPowerがトップ10に入った一方で,三洋電機がトップ10から脱落した。三洋電機の高効率太陽電池モジュールの実用化が遅れれば,両社の差がますます広がるだろう。