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 三菱重工業は,石炭たき排ガスから純度が高い二酸化炭素(CO2)を回収する実証試験を,米国の大手電力会社であるSouthern Company社と共同で,2011年に開始する。中規模の火力発電所に付設することを想定したCO2回収実証プラントを米国アラバマ州に建設。ここでの実績を足掛かりに将来の商用化を目指す。

 この実証試験には,米国政府が資金を援助する。Southern社傘下の米Alabama Power社が所有するBarry石炭たき火力発電所に実証プラントを設置。回収したCO2は圧縮した上で,地中深くの帯水層に貯留する。

 実証プラントは,前処理設備,CO2吸収/再生設備(吸収塔/再生塔),CO2圧入設備などで構成。CO2回収量は500t/日(発電量2万5000kWに相当),CO2回収率は90%以上,回収したCO2の純度は99.9%を予定している。

 回収プロセスは,以下の通りである。石炭たき排ガスには,CO2のほかにSOx,NOx,重金属,ハロゲン化合物などの“不純物”が含まれている。こうした不純物は,前処理設備でなるべく取り除く。このとき排ガスを常温近くまで冷却する。

CO2回収プロセス
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 あらかた不純物を取り除いた排ガスは,吸収塔に入る。この吸収塔の内部で,排ガスと吸収液を接触させ,吸収液中にCO2だけを取り込む。吸収液はアミン系の物質。三菱重工が関西電力と共同で開発した。両社は「KS-1」と呼んでいる。

吸収液「KS-1」
吸収液「KS-1」
アミン系の物質。以前から使われているモノエタノールアミン(MEA)よりも吸収性能が高く,プラント全体における吸収液の使用量が少なくて済む。

 CO2を取り込んだ吸収液は,再生塔に送る。再生塔では吸収液を加熱し,CO2と吸収液を分離。CO2を回収する。吸収液は循環させる。

 三菱重工では,天然ガスたき排ガスからCO2を回収するシステムに関しては既に商用化している。ただし,天然ガスたき排ガスに含まれている不純物はSOxとNOxだけなので,このシステムを石炭たき排ガスに応用するには,重金属やハロゲン化合物への対応を追加する必要がある。石炭たき排ガス向けのCO2回収プラントに関しては,電源開発の松島火力発電所でも実証試験を行っているが,同火力発電所に付設した回収プラントのCO2回収量は10t/日と少ないため,商用化に当たっては,もっと大規模のプラントで実証試験を行う必要があった。また,今回の実証試験とは別に,英国に回収量が3000t/日の実証プラントを設置し,2015年に試験運転を開始する予定。

吸収液「KS-1」
回収量が3000t/日の実証プラントの完成イメージ