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矢印による案内
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文字による案内
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ブロックによるビットの表現方法
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3.6mの長さを撮影した時に特定できる範囲の試算
3.6mの長さを撮影した時に特定できる範囲の試算
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 住友大阪セメントと埼玉大学は,舗道のインターロッキングブロック(コンクリート・ブロック)を用いた歩行者ナビゲーション・システムを共同開発した(PDFの発表資料)。開発したシステムの名称は「WYSIWYAS(ウィジウィアス):What You See Is What You Are Suggested」。地図を見ても現在地がわからないような土地感のない場所でも的確に目的地に誘導することを目指した。

 既存のGPSによるナビゲーション・システムでは,地図上に現在位置は表示されるものの,地図を理解しなければ進むべき方向がわからない。またビルの密集地や建物内では,実際の位置とのズレが大きいといった問題もあった。そこで,住友大阪セメントらは舗道のコンクリート・ブロックを位置情報のマーカーとしたナビ・システムを考案した。

あたかもコンシェルジュがいるように使う

 今回開発したシステムの利用方法は以下の通り。まず,ユーザーはカメラ付き携帯電話機で舗道に敷設されているコンクリート・ブロックを撮影する。そして撮影した画面と目的地をメールで専用サーバーに送信する。すると,サーバーから現在の位置情報に加えて,撮影した画面上に進むべき方向をコメントと矢印で表示した画像が返送される。このため地図を解釈せずに目的地までの道がわかるという。

 また今回のシステムでは,ユーザーのそばにコンシェルジュがいるような利用シーンに合った道案内を実現できるよう工夫した。ユーザーが正確な目的地を知っていなくても,利用目的にあった場所に誘導してくれる。例えば,「おにぎり」と入力すると,おにぎりが購入できる近くのコンビニエンス・ストア(コンビニ)の案内を開始する。一方,「セブンイレブン」と入力した場合には,最寄のコンビニの場所を案内する。ただしセブンイレブン以外のコンビニも誘導する。セブンイレブンをコンビニの代名詞として使うことを想定したデータ・ベースを利用しているからだ。

5000kmの舗道の中から一点を特定

 今回のシステムでは,「00」,「10」,「01」,「11」の2ビットの情報を持たせるために大きさが異なる複数のブロックを舗道に敷設する。これらのブロックをあらかじめ決めた規則で並べることで,位置マーカーとして応用した。システムでは撮影した画像の中のブロックの縦横のエッジを認識し,ブロックのビット情報を取得する。このため,夜間の撮影時やピンボケした写真でもブロックのエッジを認識できれば利用できるという。

 舗道の中の位置を割り出すことができるブロックの配列には,暗号化や誤り訂正処理に用いられる擬似ランダム系列であるM系列を応用した。N段のシフト・レジスタを用いてM系列を発生した場合の系列長は,2N-1。この時,系列中の連続したNビット分が把握できれば,その系列中のどの位置かを特定できる。これを舗道のブロックに応用する。例えば,1枚2ビットの情報を持っている一辺が30cmのブロックを用いて,ブロック12枚分にあたる3.6mの範囲(24ビット分)を撮影した場合,特定できる範囲(系列長)は,
(224-1)ビット×3.6m/24ビット/1000m=2517kmである。つまり長さ約2500kmの舗道の中からある任意の位置を特定できるという。

 ただし厳密に言えば,この2倍の約5000kmの範囲から位置を特定できる精度を持つ。これは,M系列の系列長が奇数個(2N-1)であり,2ビットずつビット情報を参照するため,系列長の最後のビットが余るからである。このとき最後ビットと最初のビットを組み合わせてそれ以降の2ビットの組み合わせをズラして参照すれば,一つのM系列で2系列分のビット情報を取得できる。万一,ブロックの配列が間違った個所があっても,システムに盛り込んだ一番確からしい場所を優先的に参照する誤り訂正機能によって正確な位置を特定できる。このため,位置情報の信頼性も高いという。

 このシステムは,特別なインフラ整備をすることなく,携帯電話機の電波が届く場所であればどこでも利用できる。事業化にあたっては,既存の敷設されたブロックを並び替えるだけで済むという。ブロックの敷設には,住友大阪セメントの敷設ロボットの活用も検討しており,今後さまざまな意見を参考にして事業化を進める。まずはテーマ・パークや公園などの閉ざされた空間での利用に向けて検討していくとする。