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図1 「人くる」の展示品
図1 「人くる」の展示品
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 ジェイテクトは、剛性の高いボールスライド式インターミディエイトシャフトを開発し、「人とくるまのテクノロジー展」に展示した(図1)。2008年10月から電動パワーステアリング用に量産を始め、自動車メーカーに納入している。インターミディエイトシャフトはハンドルとステアリングギアボックスを結ぶシャフトで、前面から衝突した時にはハンドルが車室内に飛び出さないように縮む。また普段も細かく伸縮し、路面から入ってくる振動を運転者に伝えない役割を果たす。

 自動車の操舵安定性を向上させようとすると、インターミディエイトシャフトには、回転方向の力に対してはガタやねじれがないことが要求される。一方で、快適にしようとすると、伸縮する方向に抵抗なく動くことが要求される。つまり、回転方向の剛性と伸縮方向の柔軟性を両立させたい。特にハンドルのそばにモータのあるタイプの電動パワステでは、インターミディエイトシャフトが伝えるトルクが大きくなるため、こうした要求がより強い。

 従来はスプラインで回転力を伝えるものが主流だった(図2左)。これは滑り摩擦を使うため、回転方向の剛性と伸縮方向の柔軟性を両立できない。転がり摩擦にするためにボールを使うものもあったが、従来のスプラインにボールを付け加えた程度のもので、スプラインが残っていた(図2右)。回転力が小さいうちはボールを介して回転力を伝えるのだが、ある限界を超えるとスプラインが回転力を負担する。ボールが入る溝が浅く、接触面が力の方向に対して浅い角度がついているため、ボールを介して回転力を伝える場合の剛性が低かった。

 新製品は、角を丸めた正方形断面のシャフトと、それを取り囲む中空部を持つ丸棒のスリーブを組み合わせた(図3)。シャフト、スリーブの両方にボールが入る溝を設ける。ボールの溝を3列から2列に減らした代わりに溝を深くし、溝とボールの接触角を直角に近づけて、力が直接伝わるようにした。変形しても最後までボールだけで回転力を伝えるため、滑り摩擦は使わない。

図2 従来品。左がスプライン、右がスプライン/ボール併用
図2 従来品。左がスプライン、右がスプライン/ボール併用
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図3 開発品。ボールは2列で、溝が深い
図3 開発品。ボールは2列で、溝が深い
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