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 シャープは,自然界に存在する物体色の99%以上を表示できる液晶ディスプレイを開発した。従来のRGB3色に,C(シアン)とY(イエロー)を加えた5色のカラー・フィルタを用いた液晶パネルと,専用の信号処理回路を組み合わせ た。いわゆる「多原色ディスプレイ」である。「従来の液晶ディスプレイでは表現が困難だったエメラルドブルーの海の色や,金管楽器の黄金色,バラの赤色などを忠実に再現できる」(シャープ)という。電子美術館や遠隔医療,工業デザイン用モニターなどの用途を想定する。

 開発したディスプレイは60.5型で,画素数は1920×1080。色再現範囲は,xy色度図においてNTSC規格比110%。u’v’色度図では同130%。色温度は6500K。輝度は450cd/m2で,コントラスト比は2000対1である。

 カラー・フィルタは,RGBYCの5色をストライプ型に配置した。開発品はフォトリソグラフィー技術で作製した。バックライトは冷陰極蛍光管(CCFL)を用いた。

 カラー・フィルタを多原色型にすると,「バックライトの光を効率的に利用できるため,省エネルギーにもなる」(シャープ)。同社によると,従来の3色カラー・フィルタを利用した場合と比較して,光利用効率が20~30%高まるという。

 こうした多原色ディスプレイの開発は,2003~2005年ごろに活発で,各社からさまざまなアプローチが出ていた( Tech-On関連記事)。それから数年経った今回,あらためてこうしたディスプレイを開発した理由ついて,シャープは「当時に比べると,微細加工やカラー・フィルタなどの実現技術が確実に進歩している。例えば当時の微細加工技術では,多原色にするためには画素数を少なくする必要があった。カラー・フィルタにしても『とりあえず作りました』という段階だった。それが今,いよいよ実用化を前提とした多原色ディスプレイの開発が可能な段階になった」(同社)と説明した。

 開発したディスプレイは,2009年5月31~6月5日に米国テキサス州で開催される学会「SID Display Week 2009」で発表される予定である。

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日経エレクトロニクス2003年10月13日号の解説記事「脱3原色に走りだす,デジタル・カメラとプリンター ディスプレイでも試作機が登場