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 HDMIの策定および推進団体である米HDMI Licensing, LLCは,HDMIの新仕様「HDMI 1.4」の概要を明らかにした(関連記事)。新仕様には,3次元(3D)映像を伝送するためのデータ形式などが,動画を扱う技術規格としては初めて盛り込まれる見通しである。

各種団体が3D映像への対応へ動く

 米国では3D映画の人気が高まる一方である。たとえば,2009年3月に封切りされた米Dreamworks Animation社制作の3Dアニメーション映画「Monsters vs Aliens」は,最初の1週間で5900万米ドル(約56億円)の売り上げを記録した。現時点までの累計売り上げ額は米国だけで約1.9億米ドル(約180億円)に上り,2009年に米国で公開された全映画の中で第1位を保っている。

 こうした,3D映画の急激な盛り上がりを背景に,そのコンテンツを家庭のテレビやモバイル端末などで表示可能にするための規格作りが米国を中心に始まっている。例えば,日本のパナソニックやソニーなど家電メーカーが参加する「Blu-ray Disc Association(BDA)」は,3D映画をBlu-ray Discに記録し,テレビに伝送するための仕様を検討するタスク・フォースを2009年5月に発足させた。

 また,米国のテレビ事業者などが主体となっている業界団体「Society of Motion Picture and Television Engineers (SMPTE) 」は既に2008年8月の時点で同様なタスク・フォースを発足。2009年4月には「3D Home Master」と呼ぶ,3D映像を流通させるための基本的なデータ形式および伝送形式についての条件を列記したレポートを発表した。

 この他,家電メーカーの業界団体である米Consumer Electronics Association (CEA),次世代テレビ規格を検討する米Advanced Television Systems Committe(ATSC),ケーブルテレビ事業者で構成する米Society of Cable Telecommunications Engineers,ケーブルテレビの技術規格を策定する米Cable Television Laboratories, Inc.(CableLabs)などがこぞって,3D映像の伝送仕様について検討,または策定作業を開始している。

 この中で,HDMI1.4の正式仕様が2009年6月中に発表されれば,これらの業界団体が定めた技術規格群の中で,3D対応一番乗りとなる。これに続きそうなのはBDAだ。「パナソニックとしては2009年内にはBDの3D仕様を決めたいと思っている」(パナソニック AVCネットワーク社 技術統括センター 高画質高音質開発センター 所長の宮井宏氏)。一方,SMTPEは2010年中を正式仕様策定の目標としている。

「後から出てきた仕様に対応」

 HDMIの場合,早すぎた仕様策定がアダになった面もある。乱立している3D映像の伝送方式を絞り込むことが事実上出来なかったのである。

 現時点のHDMI 1.4の草案としては,1080pで23.976Hz,720pで50Hzおよび59.94Hzの伝送形式への対応を必須とした。また,伝送するコンテンツが3Dかどうかを自動認識する機能も盛り込まれる見込みである。この他は,すべてオプションという形で「今後,市場がどの伝送仕様を選んでも対応できるように,今考えられる基本的な伝送技術を仕様に全部盛り込んだ」(あるHDMIの関係者)。

 例えば,左右の目に見せるデータを同時に伝送する「Side-by-side」,左,右,左と順番に伝送する「Frame alternative」,インタレースを利用する「Field alternative」,走査線ごとに左と右の映像を表示する「Line alternative」,2次元映像と映像の奥行き情報を分けて伝送する「Left+Depth」,などである。ただし,あるメーカーの関係者は「これらを機器にどのように実装すればよいのかまだ分からない」という。