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図1◎アクセル操作を自動化した「エスケープ」
図1◎アクセル操作を自動化した「エスケープ」
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 英Ricardo社は2009年5月28日、富士スピードウェイのショートコースでアクセル操作を自動化して燃費向上するハイブリッド車のデモンストレーションを実施した。このクルマは英国政府が主導する開発テーマ「Sentience」の成果。英国のITSプロジェクトをサポートするinnovITSが資金を、英LandRover社と同Jaguar社が当時グループ企業であった米Ford Motor社製のハイブリッド車「エスケープ」を提供し、通信事業者および地図会社、英政府交通局と協力しながらRicardo社が車両を開発した。

 同テーマの目的は、詳細な地図情報や渋滞情報を利用してハイブリッド車の出力制御を最適化し、燃費を改善しようとするもの。ハイブリッド車はエンジンとモータの二つの駆動源を持つが、電池の充電状態が下がるとモータによる動力を抑えてエンジンを主体に走行することがある。しかし、進行方向の先に下り坂があって十分にエネルギ回生できる場合は、余計に電力を使っても問題ない。そこでSentienceの車両では、詳細な地図情報を用いて、上り坂の後に下り坂があるような場合はモータアシストを多めにする。また、アイドリングストップ時間をできるだけ長くとるため、エアコンの制御も変える。渋滞情報を元に車両が停止することが分かると、停止直前にエアコンの能力を上げ、停車時の温度上昇があっても車内を不快にしないようにするのだ。

 こうした制御は詳細な道路情報や渋滞情報を携帯電話経由でサーバーから受け取り、車両のエンジンとモータの出力比を自動的に調整する。開発したデモンストレーション車両では、できるだけ運転者の意思を排除して燃費に最適な運転とするため、アクセル操作を自動化しており、運転者はステアリングとブレーキだけを操作する仕組みとした。ただし、実際の路上では運転者の意思による操作と自動運転が混在するため、運転者の操作が入った場合は自動運転をキャンセルし、その後運転者がスイッチを押すことで自動運転に復帰するような使い分けを考えている。

 同テーマは2007年3月から開始し、2009年3月に試験車両が完成した。Ricardo社によれば、テストコースでの燃費向上幅は5.3~23.9%であったとし、英国での道路における使用状態について適合させると平均で14%の向上効果があると試算した。道路上での試験においては、燃費運転を心がけた場合に対して5%程度燃費を向上できるという。エアコン制御については、ロンドンにおいては年平均で1.4%程度の燃費向上効果があるという。

 実用化時期については3~4年先と考えており、標高情報の入った詳細地図情報を提供するカーナビ、携帯電話、クルーズ・コントロール・システムのハードウエアを除けば、ソフトウエアの改良だけで済むという。なお、Ricardo社はアクセル操作だけでなく、ステアリングやブレーキ操作の自動化、自動運転による隊列走行についても研究しているが、今回の車両にはそうした技術は盛り込まれていない。

図2◎本来はサーバーから地図情報をもらうための携帯電話をインパネに搭載するが、日本でのデモでは事前にコース情報をインプットしてアクセル操作を自動化した
図2◎本来はサーバーから地図情報をもらうための携帯電話をインパネに搭載するが、日本でのデモでは事前にコース情報をインプットしてアクセル操作を自動化した
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