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 東レは幅広い種類のポリマの流動性を高める基本技術を確立した。流動性が高いと部品を薄肉にでき、より形状の複雑な製品が作れるほか、成形サイクルの短縮や成形加工温度の低減による省エネルギ化、温室効果ガスの削減が見込まれる。

 流動性を高める技術については、これまでもポリマの粘度を低くすることをはじめ、可塑剤を併用すること、共重合化すること、フィラ強化製品の場合は特殊なフィラを使うことなど、いくつかの手法が開発されてきた。しかし、いずれの場合も機械物性の低下が避けられないほか、流動性を向上する効果が特定のポリマ系や製品に限定されるといった課題があった。

 これに対して東レは、同社の固有技術である高分子設計技術と、ナノオーダーで分散構造を形成させる「ナノアロイ」技術を融合することで、流動性を高める技術を開発した。具体的には、新たに分子設計したポリマを微量添加し、マトリックスポリマの中にナノ微粒子状に分散させることで、溶融状態におけるポリマ分子間の相互作用を低下させた。これによりポリマ分子の運動性が向上し、溶融成形加工で重要となる流動性を大幅に高めた。

 射出成形モデル実験した結果、開発したポリマを1%添加することにより、ガラス繊維強化ナイロン66で流動性を50%向上、サイクルタイムを20%短縮した。ポリマの流動性を高め、サイクルタイムを短縮することによる省エネルギ化、および温室効果ガス削減効果を試算すると、型締め力200tfクラスの射出成形機1台あたり、消費電力を20%削減でき、年間11.1tのCO2排出を削減できることになる。これを樹脂1万tに適用した場合、CO2排出削減量は年間2500tに、ナイロン66樹脂の世界需要(約100万t)に換算すると、年間25万tのCO2排出削減に相当する。

 今回開発した技術は、幅広い種類のポリマに適用できる。非強化、強化、アロイ、難燃など各種コンパウンド樹脂の射出成形にとどまらず、押出成形、フィルム製膜、紡糸などの溶融成形加工に幅広く展開できる。

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