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QMT社のJames  J. Cathey氏
QMT社のJames J. Cathey氏
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2.2型のカラー・パネル。
2.2型のカラー・パネル。
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5型のカラー・パネル。ただし,色の数は少ない。
5型のカラー・パネル。ただし,色の数は少ない。
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スチール写真状のパネル。表示内容は変えられないが「モックアップではなく,mirasolの技術で作った」という。
スチール写真状のパネル。表示内容は変えられないが「モックアップではなく,mirasolの技術で作った」という。
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量産に用いる4.5世代のガラス
量産に用いる4.5世代のガラス
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上のガラスの近接写真。1.4型のパネルが敷き詰められている。
上のガラスの近接写真。1.4型のパネルが敷き詰められている。
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 米Qualcomm MEMS Technologies, Inc.(QMT社)は2009年6月2日,ディスプレイ技術の国際学会「SID Display Week 2009」の場で,台湾 桃園市にあるパネル製造工場を6月15日に稼動させると発表した。同工場はQMT社が台湾Foxlink社と提携し,QMT社の反射型ディスプレイ技術「mirasol」に基づくパネルの量産に向けて建設していたもの。4.5世代のガラスを用いるという。加えてQMT社は,これまでモノクロの文字を表示するだけだったmirasolディスプレイで,カラー表示が可能になったことも合わせて発表した(関連記事)。

ようやく蝶らしくなった

 mirasolディスプレイでカラー表示ができる原理は,光の干渉でシャボン玉などの薄膜に色が付いて見えるのと同じである。具体的には,ディスプレイの画素となる,MEMS技術を用いた微細な共振器「IMOD(interferometric modulator)」が反射光中の特定の波長を強め合い,他の波長の光を弱めるか消してしまうことによる。表示色の変更は共振器の(光の入射方向の)長さを変えることで実現する。

 QMT社によれば,IMODはもともと蝶の羽の燐粉がさまざまな色に見える原理に触発されて開発したものという。「共振器の構造もほぼ同じ。違いは,蝶の羽は変調できないが我々のIMODは変調できる点」(QMT社,Business Development Vice PresidentのJames J. Cathey氏)。カラー表示ができるようになったことで,モノクロ表示だったこれまでに比べ,ようやく蝶らしくなってきたというわけである。IMODの応答速度は,「約10μsで液晶技術のおよそ1/1000」(QMT社)と速い。これは共振器の長さが数百nmと短いためだとする。

 現時点で開発済みのカラー表示パネルは,動画を表示できるもので2種類ある。2.2型で画素数が384×288画素(223ppi),フレーム速度が30フレーム/秒,表示できる色数やコントラストを合わせて示すQMT社独自の性能指標「mobile color depth」は6万2415であるとする。「YouTubeなど動画の表示も問題ない」(同社)。もう一つは,5型で720×960画素(242ppi)とやや大きく,30フレーム/秒で動作するが,色のバリエーションが小さいパネル。mobile color depthは22と小さい。このほか,「IMODの技術を使っているが,変調機能を省いて作った」(同社)とする「スチール写真」のパネルもある。
 

「性能指標は,利用場面を考慮して決めるべき」

 QMT社はカラー表示可能なパネルを開発したことに合わせて,ディスプレイの性能を示すための独自の指標をいくつか提唱し始めた。その一つが上述のmobile color depthで,色の多彩さやコントラストに代わる指標だという。「液晶ディスプレイの性能指標である色の数やコントラストは,暗い部屋で見ることを前提にしたもの。それらの値がいくら高くても明るい屋外では意味を成さない。一方,mobile color depthは,携帯機器の典型的な利用環境での画面の見易さを示すものだ。屋外で使うことが多い携帯電話機などではこの指標で比較すべき」(QMT社のCathey氏)と主張する。