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 ディスプレイの学会「SID 2009」で「Distinguished Paper」に選ばれたソニーのフレキシブル有機ELの発表(論文番号:44.2)は,今回日本からの発表件数が少ない中で大いに注目を集めた。大型化に対応可能な「リフトオフ・フリー」かつ「シャドウ・マスク・フリー」のプロセスを新たに開発している。2カ月以上の保存期間と1万回の折り曲げを繰り返しながら,25時間の点灯エージング試験後に画像の劣化は無かったという。

 画面サイズは2.5型で画素数は160×RGB×120,画素ピッチは318μm角,精細度は80ppiである。画素はオーソドックスな2トランジスタ,1キャパシタ回路で8ビットのアナログ電圧で駆動している。ピーク輝度は150cd/m2で,NTSC比104%の色再現範囲を実現したという(図1)。気になるフレキシブル基板材料については,残念ながら答えてもらえなかった。おそらく,基板の選択が重要なノウハウの一つになるのだろう。

図1 試作した有機TFT駆動フレキシブル有機ELパネルの仕様
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 オーサー・インタビューでのデモを楽しみにして会場に行ったのだが,展示上のトラブル(※コネクタ部品が足りなかったもようでありパネルの問題ではない)で,残念ながら見ることができなかった。下の動画は,パソコンの画面を撮ったものである(動画)。有機TFTとフレキシブル・ディスプレイの組み合わせは,将来の大型ディスプレイを低コストで実現できる可能性を秘めているが,なかなかこれまで実用化を感じさせるほどの品位のデモは少なかった。


動画 試作したディスプレイのデモ(パソコンの画面を撮影)

 有機TFTで駆動する有機ELディスプレイで,画面を曲げながらこれだけの絵を表示させたことは大きな意義がある。有機TFTにとっても,フレキシブル・ディスプレイにとっても,有機ELディスプレイの応用の観点からも,大きな意味のある発表だった。