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 NICT(情報通信研究機構)やNTT,NEC,パナソニック,ソニー,米IBM Corp.など39社(機関)が推進するミリ波通信仕様が,IEEEの標準規格としてまもなく成立することが明らかになった。

 家庭のAV機器やパソコン,携帯機器において,Gビット/秒を超える高速無線インタフェースを実現する物理層規格「IEEE802.15.3c」が,早ければ2009年9月にも上部機関の認定を得て正式なIEEE標準になる。NICTのプログラムコーディネーターの加藤修三氏が,2009年7月22日から東京ビッグサイトで開催中の「ワイヤレスジャパン 2009」の講演において明らかにした。

単一搬送波とOFDMの両方に

 IEEE802.15.3cは,60GHz帯を活用することで,5Gビット/秒を超えるデータ伝送速度を実現できる物理層を規定したもの。2005年3月から標準化作業が始まっており,国内メーカーはNICTを中心としたコンソーシアム「COMPA(Consortium for Millimeter-Wave Practical Applications)」を立ち上げて技術提案を行っていた。当初は国内企業を中心としてスタートしたCOMPAは,現在は米国企業も含めて22社が加盟しているという。このほか海外の17社のパートナー企業がCOMPA陣営に加わったため,計39社(研究機関含む)が共同歩調をとって標準化作業を進めていた。

 IEEE802.15.3cでは,57GHz~66GHz近辺の帯域において,周波数帯域幅が2160MHzのチャネルを複数用いてデータを送受信する。仕様としては,単一搬送波とOFDMの両方の規定を盛り込んでいる。例えば単一搬送波を使う場合,一次変調方式にQPSKを,誤り訂正にリード・ソロモン符号などを組み合わせて,最大3Gビット/秒のデータ伝送速度を確保する。16値QAMにLDPCを組み合わせた場合では,最大5.2Gビット/秒を稼ぎ出す。OFDM利用では,64値QAMとリード・ソロモンおよびLDPCを組み合わせて,6Gビット/秒を超える設定もある。

KIOSK端末からの高速ダウンロードなど

 単一搬送波を利用する場合には,送受信回路の構成を簡略化できることから,将来的には携帯電話機のような小型機器にも搭載できると見込まれている。これを使い,街頭のKIOSK端末から大容量動画データの瞬時ダウンロード用途を可能にするという。このほか家庭のAV機器間における非圧縮HD映像の伝送にも向ける。

 NICTなど15.3cの推進企業は,正式にIEEE標準として規定されることで,今後は対応の送受信ICや製品が登場することを期待している。このほか,複数の推進企業が母体となって,規格への準拠を認定する「認証機関」の設立構想も浮上している。相互接続性などを確認し,ロゴ認証を行うとみられる。こうしたインフラを整備することで,ミリ波通信対応機器の利用を広げる狙いがある。

 なおCOMPAのメンバー企業は,NICT,米Tensorcom社,東北大学,パナソニック,NTT,富士通,OKI,ソニー,日立製作所,NEC,三菱電機,京セラ,エムメックス,太陽誘電,東京工業大学,日本無線,マスプロ電工,ATR,ユーディナデバイス,リコー,東洋システムエンジニアリング,ネットウエルである。COMPAのパートナー企業は,米Motorola社,米IBM社,韓国Samsung Electronics社,米Broadcom社,韓国ETRI,National Taiwan University,CSIST,ベルギーIMEC,France Telecom,ドイツIHP Microelectronics社,米New Lans社,オランダRoyal Philips社,Decawave社,Korea University,The Georgia Electronic Design Center,イスラエルWilocity社など17社(および団体)である。