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Adobe Systems Iberica, S.L.でGroup Manager,EMEA Platform EvangelismのEnrique Duvos氏
Adobe Systems Iberica, S.L.でGroup Manager,EMEA Platform EvangelismのEnrique Duvos氏
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 World Wide Web Consortium(W3C)が策定作業中の次期Web標準技術「HTML 5」は,動画の再生機能やグラフィックス表示機能などを備えることから,米Adobe Systems Inc.の「Flash」と競合するのではないかと言われている。この点について,Adobe社のエバンジェリストであるEnrique Duvos氏に聞いた。Duvos氏はスペイン・バルセロナのAdobe Systems Iberica, S.L.でGroup Manager,EMEA Platform Evangelismを務める。

――Adobe社のRIA(rich internet application)技術の一つである「AIR(Adobe Integrated Runtime)」には,オープンソースのWeb描画エンジンである「WebKit」が組み込まれている。その意味でAdobeもHTML 5には対応していくことになるのか。
Duvos氏 それはそうなる。AIRのランタイムを更新するときに,その時点で最新のWebkitを取り込むようにしているからだ。ただHTML 5の進展に合わせてAIRのランタイムを更新することはない。現時点では2009年2月に配布を開始したAIR 1.5.1は2億台にインストールされており,普及は順調である。それをいつ決まるかわからないHTML 5のために歩調を合わせることはない。

――HTML 5は一部で「Flashキラー」と呼ばれている。実際に普及すればFlashにとって脅威となるのでは。
Duvos氏 HTML 5はWebにイノベーションをもたらし,Webブラウザーごとの機能差をなくする。この点は大賛成だ。Adobe社も標準はサポートを続ける。
 ただHTML 5はまだ多くの課題をクリアしなければならない。その大きなものの一つが,Webブラウザー間の互換性だ。HTML 5にコミットしている企業は多く,簡単にはまとまりそうもない。HTML 5のどの部分が,複数のWebブラウザーで共通に使えるようになるのか,まだ明確ではない。
 おそらくHTML 5が確定するまで,まだかなりの時間がかかるだろう。その間にもFlashは進化を続ける。一方で,HTML 5の策定に対しても協力は惜しまない。

――だが互換性という観点からすると,Flashも決して1枚岩ではない。
Duvos氏 その指摘は正しい。だからこそAdobe社は組織を改編し,組み込み向けFlashである「Flash Lite」を原則として置き換え,組み込み向けも次のメジャー版から「Flash Player 10」に統一しようとしている。

――スマートフォンという観点からすると,米Apple Inc.の「iPhone」にはFlashが搭載されていない。逆にHTML 5対応のWebkitは,iPhoneだけでなく米Palm Inc.の「Palm Pre」や米Google Inc.の「Android」,フィンランドNokia Corp.の「S60」といったプラットフォームにも搭載されている。
Duvos氏 よく調べてみて欲しい。それらはすべてWebkitのバージョンが異なる。だから互換性という点では,一つも問題を解決していることにはならない。
 Adobe社はOpen Screen Project(OSP)を推進しており,そこではFlash Player 10が共通のプラットフォームになる。この時点でパソコンだけでなく,携帯電話機やテレビまで含めて一貫性のあるものを提供できる。