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図1◎新開発のTi複合材料。
図1◎新開発のTi複合材料。
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図2◎新複合材料の構造。
図2◎新複合材料の構造。
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図3◎シミュレーションによる,複合材料の温度ムラの解析。異方性材料を複合すると,温度ムラを抑えられる。
図3◎シミュレーションによる,複合材料の温度ムラの解析。異方性材料を複合すると,温度ムラを抑えられる。
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図4◎加熱試験の様子。
図4◎加熱試験の様子。
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 長野県工業技術総合センターと日本電熱(本社長野県安曇野市)は共同で,熱伝導特性に優れるチタン(Ti)複合材料を開発した(図1)。耐腐食性の高さと温度ムラの小ささが求められる分野,例えば液晶や半導体製造装置に搭載する伝熱プレートへの適用が期待できる。

 Tiは軽量で耐食性に優れるため,航空機部品や歯科用のインプラントなどで使われている。その半面,熱伝導率が小さいので,伝熱の分野では用途が限られていた。そこで研究グループでは,2007年から熱伝導特性に優れたTi複合材料の研究・開発に取り組んできた。今回,耐食性に優れたTiと熱伝導特性を受け持つカーボン材料(繊維またはシート)を積層して複合化することで,アルミニウム合金に比べて優れた耐食性と,良好な熱伝導特性を同時に実現した(図2)。

 同研究グループが開発した新材料は,厚さ方向よりも面内方向の熱伝導率が約18倍高く,異方性を備える。シミュレーションでは,異方性材料をうまく複合化すると温度ムラを抑えられることが確認できた(図3)。その性質を利用して新材料を伝熱プレートなどに適用すれば,アルミニウム合金並みの熱伝導特性を得られるという(図4)。

 積層構造を強固にするために,複数の貫通穴を開け,カーボン・ナノチューブを添加したTi合金粉末を充てん・焼結した。その結果,せん断強度は34M~41MPaとなり,一般の積層構造から370倍以上強度が高まったという。

 研究グループでは今後,材料特性をさらに改良するとともに,大型化を進め,同材料の実用化を目指す。なお,今回の研究は,文部科学省の長野県全域知的クラスター創成事業(第II期)の研究委託事業の一環として実施された。