PR

 「ISSCC 2010」のアドバンスト・プログラムとプレス・キットから,開示された撮像素子関連の発表内容を抄訳する。プレス・キットにおいて特に言及されていた発表は,イタリアFBK-irstの測距向けCMOSセンサ[22.7]と,ソニーの裏面照射(BSI)型CMOSセンサ[22.9]である。後者に関連しプレス・キットでは,携帯電話機向け品種でBSI型が広範に普及する可能性が指摘されている。

 今回のISSCCでは通常の撮像素子関連セッションのほか,ソニーで撮像素子部門を長く率いてきた鈴木智行氏が講演する[1.3]。「High-Speed Image-Sensor Technologies」に絞ったフォーラムもある[F4]。後者の発表者とタイトルも紹介する。

セッション22: IMAGE SENSORS

2010/02/10(水),8:30AM~12:15PM

22.1●A 2.1Mpixel 120frame/s CMOS Image Sensor with Column-Parallel ΔΣ ADC Architecture
韓国Yonsei University, 韓国Samsung Electronics社
CMOSセンサの高速・高精度化に向けて,ΔΣ型A-D変換器を各画素列に初めて統合した。ランダム・ノイズの低減にも寄与する。画素数は210万で,120フレーム/秒で出力可能。ノイズ・フロアは1.9電子,消費電力は180mW。プロセスの世代は130nm。

22.2●A 1.1e - Temporal Noise 1/3.2-inch 8Mpixel CMOS Image Sensor using Pseudo-Multiple Sampling
韓国Samsung Electronics社
疑似マルチ・サンプリングを導入することで,12ビットのA-D変換時のdark temporal noiseを1.6電子から1.2電子に引き下げた。digital averagingも使うと1.1電子になる。既存のシングル・スロープ型A-D変換器を各画素列に集積しており,特別な追加回路はない。光学サイズは1/3.2型,800万画素。

22.3●A 2.7e - Temporal Noise 99.7% Shutter Efficiency 92dB Dynamic Range CMOS Image Sensor with Dual Global Shutter Pixels
静岡大学
電子シャッターの真のグローバル化(全画素で同時に露光を終えること)に向けて,シャッターを二重化した。shutter efficiencyは99.7%。通常の埋め込み型フォトダイオードの後段に設置したpinned storage diodeと,フローティング・ディフュージョンをシャッターに用いた。ダイナミック・レンジは92dB。画素ピッチは7.5μm。開口率は25%。

22.4●A QVGA 143dB Dynamic Range Asynchronous Address-Event PWM Dynamic Image Sensor with Lossless Pixel-Level Video Compression
オーストリアAustrian Institute of Technology
画素レベルの高効率な動画圧縮に向けて非同期に動作する画素を集積した。各画素は個別に照度変化を検知した時だけ,それをPWMエンコードしたグレー・レベルとして出力する。S/Nは56dBを超える。intra-sceneでのダイナミック・レンジは,static時に143dB(30フレーム/秒出力時は125dB)。画素ピッチは30μm。開口率は30%。画素数はQVGA。プロセスの世代は180nm。

22.5●A CMOS Image Sensor for 10Mb/s 70m-Range LED-Based Spatial Optical Communication
静岡大学,豊田中央研究所
画素群の半分は画像を,残りは光学的なデータを同時に取得。前者と後者は,列ごとに交互に配置されている。通信速度は,70m地点で10Mビット/秒。速度向上は,9点の並列アナログ出力とpulse-equalizingに基づく加重合計によって実現した。画素数は642×480。画素ピッチは7.5μm。

22.6●A 256×256 14k Range Maps/s 3-D Range-Finding Image Sensor Using Row-Parallel Embedded Binary Search Tree and Address Encoder
東京大学
1秒間に14.4kの距離マップを取得できる。前回の試作の10倍に当たる。距離データの誤差の偏差は,被写体との距離が400mmのとき最大0.997mm,標準0.258mm。画素数は256×256。画素ピッチは12μm。

22.7●An 80×60 Range Image Sensor based on 10μm 50MHz Lock-In Pixels in 0.18μm CMOS
イタリアFBK-irst(Center for Scientific and Technological Research of FBK)
ゲームでの距離測定に向けたTime-of-flightセンサ。画素ピッチは10μm。画素数は80×60画素。被写体との距離が3cm~6mのとき測距速度は,5~20フレーム/秒。このときのlinearity errorは0.7%未満。最も精度が高い被写体との距離は2.7cm。復調周波数は最大50MHz。プロセスの世代は180nm。

22.8●A 2.2/3-inch 4Kx2K CMOS Image Sensor Based on Dual Resolution and Exposure Technique
パナソニック
特殊な信号電荷の読み出し法によって,低照度撮影時の感度を通常の4倍に高めた。具体的には,G(緑色)の画素を読み出しを4フレームに一度だけに減らす。これにより生じる解像度低下や被写体ブレは,RとBの画素から動き情報を得て,チップ外の画像処理で抑制する。画素の色配列は,RGGB。画素アレー中の2セットの転送ゲートを用いて特殊読み出しを実現した。光学サイズは2.2/3型。画素数は800万。

22.9●A 1/2.3-inch 10.3Mpixel 50 frame/s Back-Illuminated CMOS Image Sensor
ソニー,ソニーセミコンダクタ九州
光学サイズは1/2.3型,1030万画素品。画素ピッチは1.65μm。飽和電子数は8850。感度は9890電子/lux・秒。ランダム・ノイズは1.7電子。裏面照射(BSI)構造を採る。このため撮像素子面に対して斜めに入射する光も電子に変換できる(The backside approach maintains 85% response at 15 degrees off normal)。10または12ビット精度のA-D変換器や内部PLL,10ビットのシリアルLVDSインタフェース回路を集積する。出力速度は50フレーム/秒。出力段の駆動周波数は最大576MHz。プロセスの世代は130nm。構造は1P4M。

フォーラム4: High-Speed Image-Sensor Technologies

2010/02/11(木),8:00AM~5:15PM

「Introduction」
Johannes Solhusvik氏,ノルウェーAptina Imaging社

「High-Speed CMOS Pixel Physics and Electronics」
Boyd Fowler氏,米Fairchild Imaging社

「High-Speed Imaging with CCDs」
Jan Bosiers氏,オランダDALSA社

「High-Speed CMOS Image Sensor Architectures」
Guy Meynants氏,ベルギーCMOSIS社

「Column Readout Circuit Design for High-Speed Low-Noise Imaging」
川人祥二氏,静岡大学

「3D Range Image Capture Technologies」
池田誠氏,東京大学

「High-Speed Digital Image Processing」
Levy Gerzberg,米Zoran社

「Vision Chip and its Applications to Human Interface, Inspection, Bio/Medical Industry, and Robotics」
石川正俊氏,東京大学

「High-Speed Analog Interfaces for Imagers」
Katsu Nakamura氏,米Analog Devices社

「High-Speed Digital Interfaces for Imagers」
Jean Dassonville氏,米Agilent Technologies社

「Panel Discussion」

■変更履歴
記事掲載当初,ソニーがBSI品を携帯電話機に向けて設計したと掲載しましたが,論文にはそうした記述がありませんでした。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。