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 前回に続き,「SPIE Advanced Lithography 2010」におけるEUV(extreme ultraviolet)リソグラフィ関連の発表を報告する。第2回は今回は,マスク,レジスト,デバイス試作結果などについてである。

マスク・ブランクス欠陥検査装置に進展

 EUVリソグラフィでは現在,マスク欠陥が最大の課題とされている(「2009 EUVL Symposium」のSteering Committee)。このマスク欠陥が減らない原因の一つとして,検査装置などのインフラ整備が遅れていることがある。検査装置には,マスク・ブランクス欠陥検査装置,AIMS(aerial image measurement system),パターン欠陥検査装置の3種類がある。この中で,今回はマスク・ブランクス欠陥検査装置に進展があった。

 露光波長を使ったマスク・ブランクス欠陥検査装置の現状について,半導体先端テクノロジーズ(Selete)のTerasawa氏が初日の招待講演で発表した。Miraiプロジェクトにおいて原理検証された技術を実用化に向けて発展させて開発している装置である。「SPIE Advanced Lithography 2009」でマスク・ブランクス全面を検査できることを実証していたが,この時は高速スキャン時の微細欠陥に対する検出率に問題があった。高速読み出し時にCCDセンサから雑音が発生し,そのために信号検出のしきい値を高めに設定する必要があったからである。

 今回は,欠陥信号とCCDの雑音信号の間に差があることを利用し,CCD雑音の影響を低減する技術を開発した。これを使って,多層膜ブランクスの中に人工的に作り込んだ位相欠陥を調べたところ,そのすべてをほぼ100%の確率で検出できることを示した。さらに,多層膜ブランクスの中の自然欠陥も観察し,実際に発生している欠陥の寸法分布を示した。また,パターンを形成したマスクの上からブランクスの位相欠陥を観察し,パターンに起因するバックグラウンド信号の増加はあるが,十分に欠陥検査が可能であることを見い出した。なお,位相欠陥とマスク・パターンの重なり度合いを反映して,検査信号の大きさが変化する様子も発表した。このような結果は,今後マスク欠陥の検査とその転写特性を調べていく上で,重要な役割を果たすことが期待される。

193nm光を使うマスク欠陥検査装置,22nm向けブランクス欠陥に適用できる見通し

 米KLA-Tencor Corp.のStan Stokowski氏は,波長193nmの光を使った欠陥検査装置「Teron 610」のマスク・ブランクス・モードで,EUVマスク・ブランクスを検査した結果を報告した。193nm光は,多層膜の表面から数層までしか進入しないため,多層膜の奥に隠れた位相欠陥を直接は検出できない。しかし,位相の乱れが表面形状に影響していれば,検査できる可能性がある。

 同氏は「2009 EUVL Symposium」において,レーザーテックの欠陥検査装置「M-7360」で見付けた欠陥から26個を選び出し,Teron 610で検査した。その検査画像を,米国バークレイにある露光波長検査装置(AIT)による観察画像と比較した。また,その表面形状を原子間力顕微鏡(AFM)で観察した。その結果,表面に現れた高さが1nm,幅(FWHM)が90 nmの欠陥を70%の検査確率で検出できると発表していた。

 今回の発表では検査感度を向上させた。高さが1nm,幅が70nmの凸欠陥を80%の確率で検出できたことを報告した。欠陥検査のS/N(信号対雑音比)を決めている主な原因は,多層膜表面のラフネスであり,ここを改善すれば検査感度はさらに上がるという。また,この方式は石英基板の欠陥検査にも適用可能であると述べた。その結果,同氏は22nmノードのEUVブランクスの欠陥検査は紫外線(UV)光で可能と結論付けた。従来技術であるUV光の欠陥検査の可能性は,マスク欠陥の課題に対して朗報である。現在問題となっているマスク検査装置のインフラ整備において,EUVマスク・ブランクスの欠陥検査は,22nmまではUV光検査によって,その後は露光波長検査で対応するという認識が主流となってきた。