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―― その1からの続き ――

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 ここからは家電の話をします。今年のCESでは,各メーカーがどんなものを出してくるのか楽しみにしていました。というのは,最近,大画面薄型テレビのコモディティ化が進んでいるからです。

 40~42インチの大画面薄型テレビの価格が米国で1000米ドルを切ったのは2008年末くらいだったと思います。米国では,中国製のテレビがすごく安くなって,飛ぶように売れています。ソニーやパナソニックといった日本のメーカーの製品は,厳密に見れば品質が高いかもしれないですが,もう消費者には分かりません。違いが分からなければ,みんな安い中国製などを買っていきます。

 ここから抜け出すには,差異化が必要になります。ブラウン管テレビの時代に,自社だけフラット管を提供したり,自社だけ大画面の液晶テレビを提供したりするのは,差異化の武器になりました。そうした製品は3000ドルでも4000ドルでも売れました。しかし,もうそうした時代ではありません。

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 次の一歩として何をするのか。CESで多くのメーカーが答えとして出したのは「3D」です。しかし,私は個人的には3Dには懐疑的です。そもそも3Dのコンテンツを用意しなければならないし,専用のメガネをかける必要もある。テレビというのはメガネをかけてまで真剣に見るものではなくなっていると思うんです。私はだいたいパソコンか携帯電話機でテレビを見ています。別の作業をしながらテレビを見ることが多いにもかかわらず,3D用のメガネをかけてまで見るとはちょっと考えにくい。映画「アバター」くらいの高品質な3Dコンテンツを見るのなら3Dが欲しくなるかもしれませんが,そのためだけにテレビを買い換えたりはしないでしょう。

 3Dテレビは技術的にはおもしろいし,アバターのようなコンテンツと組み合わせれば,たしかに新しい感覚を味わえます。しかし,その付加価値だけで,1000米ドルでも買えるテレビに2000米ドル,3000米ドルを消費者が支払うかというと,かなり厳しいと思います。

 もう一つの考え方としては,テレビはリビングで見るものというよりも個人で見るものになってきているので,ワンセグのような形態が未来のテレビだ,という見方があります。特に日本ではそうした傾向が強い。その通りかもしれないですが,さすがにCESでテレビ・メーカーが「もう大画面テレビの時代は終わりだ。これからはパーソナル・テレビ」とは言わないと思います。大画面テレビとパーソナル・テレビとでは,メーカー内で開発している部門が違うという事情もあります。