PR

 東北大学の環境・エネルギー分野の教員によって設立された「NPO法人環境エネルギー研究所」は,エコハウスの講演会「エコハウスの最先端」を2010年3月12日に東北大学で開催した。企業では,積水ハウスや新日本石油,コクヨの3社が講演した。

 積水ハウスは「自然を生かしたエコハウス」と題して,同社 総合研究所 総合研究所長の木村文雄氏が講演した。2006年春に竣工した実験モデル住宅を具体例に積水ハウスの取り組みを紹介した。同社の実験モデル住宅の特徴は,太陽電池や蓄電池などを用いたアクティブなシステムと,日射や自然風,地下水などを用いたパッシブなシステムをハイブリッド化しているところにある。

 同氏は,次世代電力網であるスマートグリッドの本格的な取り組みが始まり,各社がスマートハウスの実証試験を開始している状況について,「2010年はスマートハウス元年になる」と述べた。スマートグリッドで重要性を増す住宅と電気自動車との連携を単に結合するだけではなく,融合を目指す必要があるとする。20年くらいで設備を更新する住宅に比べて,10年程度と更新が早い自動車をインテリジェントな端末として住宅で利用していく将来像を示唆した。

 新日本石油は「ENEOS わが家で創エネ・プロジェクト」と題して,同社 小売販売本部ホームエネルギー部長の宇田川博文氏が講演した。同社は,エネルギーを中心に考えた創エネハウスを2009年3月に神奈川県横浜市に建設している。1990年比でCO2を50%削減し,太陽光発電によるCO2削減効果で実質的にカーボンフリーとなる住宅を目指している。同社は,実際に3組の4人家族と1組の3人家族にそれぞれ2週間滞在してもらう実証試験を2009年夏と今冬に実施している。1週間目は自由に過ごしてもらい,2週間目の最初に省エネを意識してもらうアドバイスを行ってから,もう1週間滞在してもらうプログラムを用意した。

 利用する機器は,太陽電池と燃料電池,蓄電池,HEMSの組み合わせと,太陽電池と高効率石油給湯器「エコフィール」,太陽熱温水器,HEMSの組み合わせをそれぞれ検証している。その結果,夏場は太陽熱温水器を利用する利点が多く,同機器を用いる組み合わせの方がCO2削減効果が大きかった。一方,冬場は燃料電池の廃熱を利用する機会が多く,発電量が増えることから,燃料電池を用いる組み合わせの方がCO2削減効果が大きいとする。ただ,削減量については家族によって大きく違い,それぞれの家族に合ったHEMSを構築する必要があるという。

 コクヨは「エコライブオフィスにおける実験的な取り組み」と題して,同社 RDIセンター 課長の飯沼朋也氏が講演した。同社は,2008年11月に実験オフィス「エコライブオフィス品川」を開設し,CO2排出量を年間56t(41.5%)削減する目標を掲げている。2008年12月~2009年11月の実績は,CO2排出量を58.8t(43.6%)削減したとする。このうち,LED照明の利用や照度の最適化,空調の運転時間の短縮化など設備の省エネによるCO2の削減量が51.1tと最も多かった。このほか,人感センサや定時消灯,定時退社など運用による省エネでのCO2の削減量が7.7tあったという。

 同社では創エネによるCO2削減を目指し,発電・蓄電・給電システムの開発を進めている。その一つが太陽光発電による電力を直流のまま蓄電し,オフィス内で給電・利用するシステムである。太陽光発電による電力を持ち運び可能なLiイオン2次電池に蓄電し,その2次電池をノート・パソコンで直流のまま利用する試験を2009年12月から開始している。このほか,人力発電や使い古しの乾電池などから微小な電力を回収して利用する微小電力回収システムの実験を2010年2月から開始したという。

 最後の講演は,東北大学大学院 工学研究科 都市・建築学 教授の小野田泰明氏が「DC Life Space Project―DC給電がもたらす生活空間の可能性」と題して講演した。電化の歴史を振り返り,生活空間がどのように変遷しているかを考察した。同氏は電化の進展により,コンセントがある壁側に人々が集まる生活空間になったと分析している。このため,東北大学が2010年3月末に竣工予定のDC(直流)給電を用いたエコハウスでは,部屋の中央に人々が集まる空間を設計したという。