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装置を装着した様子。パソコンなしでスタンドアロンで動作可能。
装置を装着した様子。パソコンなしでスタンドアロンで動作可能。
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 日立製作所と日立国際電気エンジニアリングは,近赤外光を用いたウェアラブル型の脳計測装置を2010年7月から発売する(発表資料)。大学などの研究機関における脳研究やニューロ・マーケティングなどの用途に向け,非薬事品として販売する。額の部分に近赤外光を照射するため,計測できるのは脳の前頭前野である。4人までの被験者の脳活動を同時に計測可能である。価格はオープン価格だが,1000万円程度という。

 今回の脳計測装置は,日立製作所が1995年に開発した脳計測手法「光トポグラフィ法(NIRS)」に基づく。近赤外光は頭蓋骨などの生体を透過し,脳内で散乱・反射する。この散乱・反射の度合いを計測することで,脳内での血流量の変化を推定する。具体的には,脳内でのヘモグロビンの変化を見る。

 医療向けのNIRSは,日立グループでは日立メディコが販売しているが,比較的大型である。今回は計測に必要となる近赤外光の半導体レーザー素子,2波長分を1つのパッケージに収めることで小型化し(2波長レーザー),医療機器向けのNIRSで必要となる光ファイバーを不要とした。波長は705nmと830nmである。照射部と受光部はそれぞれ8個あり,チャンネル数は22である。

 計測装置は,頭に装着するヘッドセット部,データを記録する制御ボックス,計測結果をリアルタイム表示するコントローラ部の三つから成る。重量はヘッドセット部が700g,制御ボックスが650gで,これらは信号線で接続されている。内蔵した電池により約2時間の計測が可能である。コントローラ部とは無線LANを介して接続する。

 なお,日立製作所は2007年5月にウェアラブル型のNIRS装置の試作品を発表している(発表資料)。今回の製品は,この2007年の試作品を改良し,製品化したものである。

ヘッドセット部と制御ボックス。
ヘッドセット部と制御ボックス。
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前頭前野での脳内血流を表示した様子。
前頭前野での脳内血流を表示した様子。
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グラフでの時系列表示。
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中央上部が受光部,下部が照射部である。内部に2波長レーザーの素子が見える。
中央上部が受光部,下部が照射部である。内部に2波長レーザーの素子が見える。
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