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図1 シャープが開発した3Dテレビ向け液晶ディスプレイ
図1 シャープが開発した3Dテレビ向け液晶ディスプレイ
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図2 視聴イメージ
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図3 フレーム・シーケンシャル駆動方式の課題の一つは輝度
図3 フレーム・シーケンシャル駆動方式の課題の一つは輝度
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図4 通常の2D表示と同程度の明るさ“感”を得るためには,2D表示時の18%以上となる輝度が必要
図4 通常の2D表示と同程度の明るさ“感”を得るためには,2D表示時の18%以上となる輝度が必要
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図5 UV2Aの概略
図5 UV2Aの概略
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図6 4原色技術の概略
図6 4原色技術の概略
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図7 4原色技術(右)と従来技術(左)の比較。色再現範囲は1.1倍に
図7 4原色技術(右)と従来技術(左)の比較。色再現範囲は1.1倍に
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図8 4原色技術(右)と従来技術(左)の比較。輝度は1.2倍に
図8 4原色技術(右)と従来技術(左)の比較。輝度は1.2倍に
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図9 FRED技術の概略
図9 FRED技術の概略
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図10 クロストーク抑制に向けバックライトにも工夫
図10 クロストーク抑制に向けバックライトにも工夫
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図11 サイドマウントスキャニングLEDバックライト技術のデモ。40型品では5つの領域に分割する
図11 サイドマウントスキャニングLEDバックライト技術のデモ。40型品では5つの領域に分割する
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図12 サイドマウントスキャニングLEDバックライト技術の概略
図12 サイドマウントスキャニングLEDバックライト技術の概略
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 シャープは2010年4月12日,3次元(3D)表示に対応するテレビ向けの液晶ディスプレイを開発した(図1,図2,発表資料)。テレビ向けの3Dディスプレイとして,「業界最高となる100cd/m2以上の輝度を実現した」(同社 常務執行役員 研究開発本部長の水嶋繁光氏)という。加えて,左目用と右目用の映像が交ざり合う「クロストーク」の発生を,他社よりも抑えたと主張する。開発品を搭載した3Dテレビを,「2010年5月に発表し,夏商戦に投入する」(同社 副社長執行役員 AVシステム事業統轄の松本雅史氏)計画だ。同社の液晶テレビ「AQUOS」に占める出荷比率として,「5~10%を目指したい」(松本氏)と意気込む。当面は,AQUOSにのみに搭載する予定であり,外販の予定は未定という。

テレビ向けにはメガネ式を採用

 3D映像の表示には,240Hz駆動の液晶ディスプレイとアクティブ方式の液晶シャッター搭載メガネ(3Dメガネ)を組み合わせた「フレーム・シーケンシャル方式」を採用する。これは,左目用と右目用の映像を1フレームごとに切り替えて表示し,これと同期する形で液晶シャッターで右目と左目の視界を交互に閉ざすことにより,左右の目に異なる映像を見せて3D表示を実現するもの。パナソニックやソニー,韓国Samsung Electronics Co., Ltd. ,韓国LG Electronics,Inc. が発表済みの3Dテレビと同様の方式である(Tec-On!の関連記事1関連記事2関連記事3関連記事4)。この方式は視点数の制限がないため,「大人数で3D映像を見るには最も適している」(シャープの水嶋氏)とする。なおシャープは,携帯機器向けに裸眼で3D映像が見られる液晶ディスプレイを開発しており,2010年上期に量産する予定である(関連記事5)。機器の用途に応じて,これらの3D表示技術を使い分けていく計画だ。

 シャープは,フレーム・シーケンシャル方式による3D表示時の課題として,(1)輝度の低下,(2)クロストークの発生,(3)映像の鮮やかさの低下,の3点を挙げる。特に輝度については,「2D表示時に比べて,液晶ディスプレイとPDPいずれも1/10に低下してしまう」(水嶋氏)という(図3)。これは,ディスプレイの発光時間の制御や偏光板を搭載するメガネなどが必要になるため,光の損失が通常の2D表示に比べて多いためだ。実際,他社が発表済みの3Dテレビにおけるメガネ越しの輝度は,「最大でも60cd/m2程度」(水嶋氏)だとする。ただし,偏光板を搭載するメガネをかけると「周囲の明るさが人間の目には18%まで暗く見える」(同氏)という。このため,フレーム・シーケンシャル表示方式で,「通常の2D表示と同程度の明るさ“感”を得るためには,2D表示時の18%以上となる輝度が必要」(水嶋氏)であるとする(図4)。例えば,2D表示時が500cd/m2の場合,500cd/m2×18%=90cd/m2以上の輝度が得られればよい計算となる。

四つの独自技術で課題を解決

 シャープの開発品は,「UV2A技術」と「4原色技術」,「FRED(フレッド)技術」,「サイドマウントスキャニングLEDバックライト技術」と呼ぶ四つの独自技術を導入することで,これらの課題の解決を図ったとする。

 この中で,シャープの液晶テレビ「AQUOS」に導入済みのパネル技術が,UV2A技術と4原色技術である。UV2A技術は,2009年9月に発表した独自の表示モードであり,紫外線光を用いて液晶分子の配置方向(配向)を制御する(図5,関連記事6)。従来のVA(vertical alignment)モードで,液晶分子の配向を制御するために必要だったスリットや突起(リブ)が不要になるため,パネルの開口率が1.2倍以上に向上する。加えて,応答速度が従来比の2倍の4ms以下になるため,クロストークの発生も抑えられるとする。

 一方,4原色技術は,液晶パネルのカラー・フィルタに,RGBの3色にY(イエロー)を加えた4原色品を用いることで色再現範囲を広げる技術である(図6)。2010年1月に開催された「2010 International CES」で発表しており,米国向けの「AQUOS」に採用済みである(関連記事7)。RGB3色の場合に比べて,パネルの透過率が1.2倍以上,色再現範囲は1.1倍以上高まったとする(図7,図8)。

 今回の新たに導入したのが,FRED技術とサイドマウントスキャニングLEDバックライト技術である。FRED技術は,1画素当たり1本のソース配線で,液晶パネルを240Hzで駆動できるもの(図9)。現状,240Hz駆動に対応する液晶パネルの多くは,「1画素当たり2本のソース配線を形成し,1本のソース配線で120Hz駆動分の映像データを送信しているため,パネルの開口率が低下している」(シャープ)という。FRED技術を導入すると,2本の信号線を形成していたパネルに比べて,開口率は1.1倍に向上するほか,ソース・ドライバICの数も1/2に削減できるという。技術の詳細は,「明らかにできないが,信号の伝送方法に独自の改良を加えた」(同社)とする。

 もう一つの,サイドマウントスキャニングLEDバックライト技術は,主にクロストークの発生を抑えるために導入した(図10)。開発品では,入力映像信号が左目用と右目用それぞれ60フレーム/秒である場合,左目用と右目用にそれぞれ入力映像信号と同じフレームを2枚連続で表示する。左目用または右目の映像の1フレーム分に対し,LEDバックライトを横方向に5~6程度の領域に分割して点灯する(図11,図12)。こうすることにより,「クロストークを他社よりも抑えられた」(同社)とする。

 なお,LEDバックライトはパネルの左右の側面に配置する「エッジライト型」を採用する。パネルの背面に光源を配置する「直下型」に対して,薄型化を図れるとする。