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 第13回組込みシステム開発技術展(ESEC)が東京ビッグサイトで始まった。「空いていた」昨年の初日とは打って変り(Tech-On!関連記事1),今年は初日も混雑していた。「昨年末から今年の年頭を境にして,問い合わせが増えだし,現在はリーマン・ショック前の状況に戻ってきた」という展示ブースの説明員が多かった。今年は,展示側も来場者側も積極的に議論する姿が目立った。

 筆者は今年もLSIのハードウェア設計に偏って展示を見て回った。まず,「LSI設計全体の支援」関係では,ASICとFPGAの設計サービスに焦点を合わせた「プライムゲート」(東40-7)やボードの各種解析までを含めた「住友電工システムソリューション」(東29-8)などがあったが,目を引いたのは「東芝情報システム」(東35-50の東芝グループ・ブースの一角)の「ターンキー・サービス」である。

アナログ系ICでターンキー・サービス

東芝情報システムの「ターンキー・サービス」 Tech\-On!が撮影。
東芝情報システムの「ターンキー・サービス」
Tech-On!が撮影。
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 同社は,これまで要求解析からレイアウト設計まで設計全体でサービスを展開してきたが,今回は製造までリーチを広げた(これが,ターンキーの意味)。同社が製造するわけではないが,複数のシリコン・ファウンドリと契約し,顧客や顧客のチップに最適な製造委託先を選定する。デジタルのチップでは基本的にコストや納期で選べば良いが,「アナログやミックスト・シグナルのチップでは特性の要求が多様で,そのチップに最適な製造委託先を見つけることは意外に難しい。それを我々が支援する」(同社)。

日立製作所の「LSI/プリント基板 設計ユーティリティサービス」 Tech\-On!が撮影。
日立製作所の「LSI/プリント基板 設計ユーティリティサービス」
Tech-On!が撮影。
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 ターンキーというと,東芝のセミコンダクター社のASICやカスタムLSIの事業との棲(す)み分けが気になるが,「東芝本体では対応が難しい中小規模のプロジェクトからまず始める。小回りが利くことを生かしたい」(同社)とする。これまで行ってきた設計サービスで培ったノウハウも顧客への訴求ポイントだという。今回のESECでは,同社が設計したLEDドライバICを見せていた。市場にある製品に比べて,細かな明るさ調整が可能で,部品点数も少なくできるという。

自社向け開発環境をクラウドに展開

 もう一つ,LSI設計全体の支援で目を引いたのは,日立製作所の「LSI/プリント基板 設計ユーティリティサービス」(東7-50の日立グループ・ブースの一角)である(このブースはESECではなく,通路をはさんで向かい側で併催の「第1回クラウド コンピューティングEXPO」にある)。同社の情報・通信機器部門が自分たちで使うために開発したLSIやボードの設計用EDA環境(Tech-On!関連記事2)を,同社のクラウド型コンピューティング・システム/サービスの「Harmonious Cloud」を使ってSaaS型のサービスで利用できるようにしたもの(ニュース・リリース)。

 同EDA環境は現在,同部門の枠を超えて,日立本体の他の部門や日立グループ企業の合計14組織で利用されている。さらに日立グループ外の4社でも試用を始めた。今回,米Cadence Design Systems, Inc.と組み,Cadenceの製品を使ったEDAシステムをクラウド上で利用できるようにした。顧客の手持ちのEDAとクラウド上のEDAを併用する環境の構築も支援していく。さらに日立は,EDA環境の提供だけではなく,LSIやボードの設計支援サービスも行う。