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 「中国のボリュームゾーンを攻略するためには,価格を安くすることが必須。それを実現するためにも,また現地ニーズを正確に把握するためにも,現地で開発を進めるのが望ましい」。東京大学 社会科学研究所 教授の丸川知雄氏は,2010年5月14日に東京都内で開催されたTech-On!主催のセミナー「市場変化を捉えてビジネスチャンスを切り開く」において,「中国のボリュームゾーンを攻略する」と題した講演を行い,このように述べた。このセミナーは,4月から始まった「Tech-On!プレミアム」サービスの会員を対象にして開催したもの。

 2010年,国内総生産(GDP)で中国は日本を抜くのは確実。中国では所得差が大きいと言われているが,近年の消費の拡大は,所得水準の低い層がさまざまな商品を購入し始めたからだと言う。丸川氏の独自の分析によれば,2009年,世帯年収8万9000元(122万円)以上の世帯のマイカー保有率は33%だが,同5万元(68万円)~6万7000元(92万円)の層でも,マイカー保有率が10%にまで高まっているとする。携帯電話であれば,同1万元(14万円)の層でも保有している場合があるという。

 このような層を狙って,中国においてビジネスを拡大するためには,やはり値段を安くする必要がある。2009年,中国ではクルマの生産台数が約5割増えた。ここで,シェアを上げたのは中国メーカーで,日本メーカーは軒並み大きくシェアを落とした。2009年は中国政府の政策で小型車が大量に売れたが,排気量1.6L以下クラスのクルマの価格を比較すると,中国メーカーと日本メーカーには大きな開きがあり,ともすると日本メーカーの価格は2倍であったりする。所得水準の低い層に広めるためには,やはり価格が安くなければ駄目だということだ。

 低価格要求の強い中国市場での成功事例として,丸川氏は3社を紹介した。クルマの上海GM,携帯電話のフィンランドNokia,そしてビールのサントリーである。例えば,上海GMでは,「Sali」という小型車を中国メーカーとほとんど変わらない価格で販売しているが,そもそもブラジルで生産していた車種を中国の開発拠点で改造して発売したもの。グローバルな資産を生かしつつ,さらには現地で改良することで,中国ニーズを反映した製品を安価に発売できたという。

 これらの成功事例を分析して言えることは,中国のボリュームゾーンは以前の富裕層からどんどん下の階層に広がっているので,日本で売れているものを,そのまま売っても数は期待できないということ。価格を安価にせねばならず,そのためには経営や開発を現地化しなくてはならない。また,中国では流通が未発達なので,流通ルートの整備も成功につながると言う。

 同氏の講演全体は,Tech-On!プレミアム・サービスの会員を対象にした,ビデオ配信サービスで見ることができる。Tech-On!プレミアム・サービスのご案内はこちら