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電事連 電力技術部長の藤井裕三氏
電事連 電力技術部長の藤井裕三氏
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スマートメーターの役割は4種類

――最後にスマートグリードで重要な位置を占めるスマートメーターについて聞きたい。スマートメーターには,どのような課題があると考えているか。

藤井氏 スマートメーターの役割は大きく4種類あると考えている。具体的には,(1)リモートでの検針機能,(2)リモートでの停止/開始機能,(3)「デマンド・レスポンス」と呼ばれる電力利用状況のリアルタイムでの把握機能,(4)電力サービス事業者側が家電のオン/オフなどを制御して,ピーク時の電力需要を抑制する機能,の4種類だ。

 このうち,関西電力などは(1)と(2)の機能を想定したスマートメーターの導入を始めた。日本でも,引越し時などにメーターを物理的に外したり設置しなおしたりするコストが無視できないため,停止や開始がリモートでできる点にはメリットがある。

 課題が多いのは(3)と(4)だ。デマンド・レスポンスを実現するには,まず,情報処理のためのサーバーのコストや,通信回線のコストがかかる。一般回線を使うと,セキュリティ対策のコストがかさむ恐れがあるため,電力会社専用の通信回線を敷設することになる。

 デマンド・レスポンスはユーザーに金銭的なインセンティブを与えて,電力需要を制御するのが目的の一つ。今,その効果を実証実験で見極めているところだが,米国と同じ効果が出るかどうかは疑問がある。理由は,そもそも日本の一般家庭の消費電力は,米国の家庭よりずっと小さいからだ。日本では冷房は部屋単位だが,米国では家ごと冷やしている。日本の家庭の消費電力が増えているとはいっても,それは世帯数の増加によるものだ。

 (4)についても,どこまで効果があるかは疑問だ。電力サービス事業者がエアコンの電源を切っても,ユーザーが電源を入れることはできてしまうからだ。

 海外の電力事業者がスマートメーター導入に積極的なのは,一つは従来のメーターの問題がある。円盤の回転で消費電力を測る従来のメーターは,錆びてくるとうまく回らなくなる。日本では,10年ごとに動作をチェックすることを定めた法律があるため,メーターが正しく動かないということはほとんどない。一方,海外にはこうした定期的な点検についてのルールがない。海外の電力事業者の本音も,日本と同じ(1)と(2),そしてメーターを電子式にして正しく消費電力を測りたいというところにある。



参考文献
1)平成19 年度 独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託業務成果報告書「広域分散型電源としての太陽光発電システムの利用可能性の調査」,2008年3月