PR
図1 三菱電機 執行役社長の山西氏
図1 三菱電機 執行役社長の山西氏
[画像のクリックで拡大表示]
図2 3地域で実証実験
図2 3地域で実証実験
[画像のクリックで拡大表示]
図3 実証実験の概要
図3 実証実験の概要
[画像のクリックで拡大表示]

 三菱電機は2010年5月17日,国内3地域で次世代電力網「スマートグリッド」に向けた実証実験を始めることを発表した(図1)。期間は2年間で,約70億円をつぎ込む。2010年度に設備を構築し,2011年度から本格的に実験する。国内シェアの目標として三菱電機 執行役社長の山西健一郎氏は,2020年ごろに「20~30%は取りたい」と述べた。資源エネルギー庁の試算によれば,スマートグリッドの国内市場規模は2020年に2.1兆円となる。試算通りであれば,三菱電機は2020年に国内だけで4200億~6300億円の売上げを狙うことになる。このために山西氏は「全社を挙げたプロジェクトとして推進する」と述べ,約150人の開発人員を割り当てる計画だ。三菱電機には電力関連機器や通信関連機器などスマートグリッド向けに必要な技術の多くが既に「手の内にある」(山西氏)とし,他社より優位にあることも強調した。

 国内3地域とは,尼崎地区と和歌山地区,大船地区にある三菱電機の事業所である(図2)。メインとなる尼崎地区では主に配電網の電力管理システムの,和歌山地区では太陽電池の,大船地区では住宅向け電力管理システムの実験をする。実験の狙いは「自社技術のポテンシャルアップ」(山西氏)と考えており,他社との協業は想定していない。ただし,電力事業者とは「運用やノウハウについて積極的な指導をお願いしたい」(山西氏)と述べた。

 尼崎地区には,4MWの太陽電池や500kWの蓄電池,200kWの揚水発電の模擬装置,150台のスマートメーター,電気自動車(EV)向けの充電スタンドなどを設置する(図3)。風力発電システムは設置せず,シミュレーションで対応する。尼崎地区の電力消費量は約40MWであり,4MWの太陽電池は全体の約10%に相当する。この10%という数字は,日本政府が掲げる太陽電池の導入目標値が日本全体の電力需要量の約10%となることから決めた。蓄電池に関しては,NAS(ナトリウム・硫黄)電池やLiイオン2次電池などを試す。「電池メーカーについては,実証実験で試しながら選定する」(山西氏)方針である。

DRやV2Hの実験も

 和歌山地区では,200kWの太陽電池を設置する。尼崎地区と通信しながら発電量などを把握できるようにし,地域間で再生可能エネルギーによる電力の管理システムを構築することを狙う。大船地区には住宅1軒を新設し,スマートメーターを利用した自動検針システムやゲートウエイ装置,EV,蓄電池などを設置する。電力網の需給状況に応じて住宅内の電力利用を制御する「demand response(DR)」や,EVから住宅などに電力を供給する「Vehicle to Home(V2H)」などについても実験する計画である。「大船地区での実験成果を随時,尼崎地区に反映していく」(山西氏)方針だ。

 三菱電機は,スマートグリッド向け事業を国内だけでなく,海外にも展開する考えである。地域ごとにスマートグリッドの狙いは異なるが,三菱電機は大きく三つに分類した。第1が,主に日本や欧州などの「再生可能エネルギーの大量導入型」,第2が米国や中国などの「インフラ整備/増強型」,第3がインドや東南アジアなどの「コミュニティまるごと型」,である。地域の狙いごとにビジネスのやり方は異なるとみており,例えば「インフラ整備/増強型」では変圧器などの機器販売が中心になる。また,第3の「コミュニティまるごと型」に向けては三菱電機単独で難しく,国や他企業との連携がカギになるという。