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 スクウェア・エニックスは2010年3月期の連結決算と共に,今後の事業方針を発表した。同社は2010年3月期に過去最高益の経常利益を達成した。しかし「依然,経常利益が250億±100億円のまま。次は400億±100億を目指す」(同社 代表取締役社長でCEOの和田洋一氏)。これに向けて「グローバル化」「自社IP強化」「ネットワーク化」を進めるという。

地域特性を克服

 「グローバル化」「自社IP強化」は,世界で200万本程度売れるゲーム・ソフト(「AAA(トリプルエー)タイトル」)を増やすことを意味する。同社は来期のゲーム・ソフト販売数を2400万本と見込んでいる。ゲーム・ソフトは地域特性が強いため,同社はソフトの多様化などにより弱い地域の販売本数を引き上げる考えだ注1)

注1)「バットマン アーカイム・アサイラム」の販売数は北米で182万本,欧州で139万本,日本で3万本である。「ドラゴンクエスト(ドラクエ)IX 星空の守り人」は日本で426万本販売し,北米や欧州で発売していない。

 2010年3月期における同社のゲーム・ソフト販売数の地域別比率は,欧州が27%,北米が28%,日本が44%。来期(2011年3月期)は「かなりチャレンジングだが」(社長の和田氏),欧州を37.5%に,北米を37.5%に,日本を25%にしたいという。グローバル化に関連して同社は,中国などの新興国市場の開拓にも注力する考えだ。ただし「中国事業に向けてどこと提携するかはまだ白紙」(和田氏)である。

実質800人の人員削減

 ネットワーク化に関して今後は,オンライン・ゲームの開発やオンライン販売などをさらに促進していく。2011年3月期には,「ファイナルファンタジーXIV」といった大型タイトルをオンライン・ゲーム市場に投入する予定だ。加えて,昨今成長中であるSNS機能を持たせた「ソーシャル・ゲーム」やiPhone向けゲームも注力してリリースする。

 こうした事業変革に向けてスクウェア・エニックスは人員を削減した。2009年3月末時点でのグループ全体で3805名いた人員を,2010年3月末には3338名と約467名削減した。この1年間で増えた中途や新卒の採用も考慮すると,実質的には800人近く削減した計算になるという。

 和田氏は,ソーシャル・ゲームやiPhone向けゲームに関して次のように述べた。「少ない開発コストで大きな儲けを獲得できると捉えられる場合が多いが,事業全体で見ると実は,ROI(投下資本利益率)はあまり変わらない。従来のパッケージ型ソフトよりも当たり外れが大きいからだ。この課題を克服したとはまだ言えないが,それでもヒットに向けた照準は定まりつつある。今後も継続してタイトルを出したい」(和田氏)。

 このほか和田氏は,Apple社のタブレット型コンピュータ「iPad」に向けたゲームを2011年3月期にリリースすることを,直接的な表現を避けつつも示した。