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 エレクトロニクス実装学会のシステムJisso-CAD/CAE研究会が,平成22年度第1回公開研究会を,JPCA Show 2010と同じ東京ビッグサイトで6月4日に開催した。今回のテーマは「最適化に用いるシミュレーション技術」だった。

「パッケージやボード設計の課題」を説明するイビテックの長谷川清久氏 Tech\-On!が撮影。スライドは同社のデータ。
「パッケージやボード設計の課題」を説明するイビテックの長谷川清久氏
Tech-On!が撮影。スライドは同社のデータ。
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「バイパス・コンデンサの内蔵よりも基板を薄くする方が有効」 一番下(最もインピーダンスが低い)の特性は,基板を薄くしたときのものである。Tech\-On!が撮影。スライドはイビテックのデータ。
「バイパス・コンデンサの内蔵よりも基板を薄くする方が有効」
一番下(最もインピーダンスが低い)の特性は,基板を薄くしたときのものである。Tech-On!が撮影。スライドはイビテックのデータ。
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 ボードやパッケージ周りのシミュレーションに関連する,立場の異なる複数の講演者が登壇した。シミュレーション技術の研究者の立場では,大阪大学の橋本昌宜氏(情報科学研究科情報システム工学専攻 准教授)とNECの大島大輔氏(システム実装研究所 主任)の2名。シミュレータ・メーカーの立場では,ギガヘルツテクノロジーの河村隆二氏(代表取締役)。シミュレータのユーザーの立場では,沖プリンテッドサーキットの二村和則氏(技術本部商品開発部基礎技術開発チーム)とイビテックの長谷川清久氏(事業統括部第三グループ パッケージ設計チーム チームリーダー)の2名が登壇した。全部で5件の発表があった。

開発早期の話合いが重要

 今回の研究会で最も盛り上がったのが,最後に登壇したイビテックの長谷川清久氏の講演である。テーマはチップ-パッケージ-ボードの協調設計だった。「安価に作ることが非常に重要になっており,そのためにどうすれば良いか」と切り出して,同氏の講演は始まった。その中で同氏は,チップ-パッケージ-ボードの協調設計/検証は重要だが,EDAツールを使うだけが協調設計/検証ではないとし,「関係者全員が一つのテーブルについて話し合うこと。それも開発の早い段階で話すことこそが重要」と述べた。EDA否定派のような口調だったが,その後はツールを使った協調設計の例を次々と紹介した。

 例えば,「LSIに近づけようとバイパス・コンデンサを基板に内蔵する動きがあるが,それよりも基板を薄くする方が効果的」(同氏)との電磁界シミュレーション結果を示した。講演の終盤で同氏は,「先ほどの話(EDAより話合いが重要と言ったこと)と矛盾するようだが,EDAを使いこなすことは大切」と述べている。実はこの矛盾こそが,協調設計の現状ではないだろうか。理想を求めて協調設計にトライしてはみるものの,厳しい現実の壁に当たるケースが後を絶たないためだろう,講演後のQ&Aではさまざまな質問が出た。