PR

 米HomeGrid Forumは,乱立している家庭内有線通信の仕様統一を目標とした通信規格「G.hn」が,ITU-Tで正式承認されたと発表した。このG.hnによって,電話線と同軸ケーブル,電力線を利用したパソコンやデジタル家電間の通信,白物家電や照明の制御,さらにはスマートグリッドに至るまでの通信仕様を統一できるとする。「2010年内にも複数のチップ・ベンダーから対応ICが発表される」(HomeGrid Forum)という。

 G.hnは,それ自体が一つの通信仕様(関連記事)。大きく分けると物理層の規格「G.9960」,データ・リンク層の規格「G.9961」,共存用プロトコル「G.9972」の3規格から成る。100M~200MHzの帯域を用いて,最大1Gビット/秒の伝送速度を規定する。電話線や同軸ケーブル,電力線といった各ケーブルにまたがる通信データは,ゲートウェイを介して橋渡しされる。電気自動車(EV)と家庭内のテレビなどで映像コンテンツなどをやり取りすることも想定する。HomeGrid Forumは現在,スマートグリッドでの応用を見据え,G.hnに付随するエネルギー管理のための規格「G.hnem」も開発中だとする。

 G.hnの最大の特徴は,電話線や同軸ケーブル,電力線の既存の各種通信規格との共存性,あるいは互換性を備えている点である。「電話線や電力線の通信規格はあまりに乱立がひどすぎて,どれを使えばよいのか市場が混乱している。このままでは成長できない。これを解決するには,多くの規格にとって大きな傘となる規格が必要だ」(米Sigma Design社 CTOのRami Verbin氏)。

 具体的に共存性は,米HomePlug Powerline Allianceの電力線通信規格「HomePlug AV(HPAV)」,米Consumer Electronics Powerline Communication Alliance(CEPCA)およびHD-PLCアライアンスの「HD-PLC」との間で確保した。これは,アクセス制御を時分割にして,HPAVやHD-PLC用のタイム・スロットを設けたもの。電力線の場合,50/60Hzで振動する電圧の位相などをタイミングのリファレンスに用いて実現する。

 一方,下位互換性については,電話線や同軸ケーブル上でのLAN規格「HomePNA」や米Multimedia over Coax Allianceの「MoCA」,HPAV,HD-PLC,そして米Universal Powerline Association(UPA)の「UPA」をG.hnと同時に実装し,必要に応じて規格を切り替えられるようにした(関連記事)。

 現在,HomeGrid Forumに参加する半導体メーカーは,米Intel Corp.や川崎マイクロエレクトロニクスの米国法人,米Sigma Designs社,米Texas Instruments Inc.,など計8社。何社かは,2010年内のチップの開発を予定しているという。