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50Gビット/秒で伝送できる光インタフェース(光リンク)
50Gビット/秒で伝送できる光インタフェース(光リンク)
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送信モジュールと受信モジュール
送信モジュールと受信モジュール
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送信ICの内部構成
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受信ICの内部構成
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伝送時のアイパターンを示す
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 米Intel Corp.は,Si技術で受発光デバイスや光導波路を実現する「Siフォトニクス」を用い,最大データ伝送速度が50Gビット/秒の光インタフェース(光リンク)を試作した。

 レーザや光変調器,波長多重用のマルチプレクサなどを集積した送信ICと,デマルチプレクサや光検出器などを集積する受信ICを,いずれもSiで実現した。送信ICと受信ICをそれぞれ樹脂基板上に実装したモジュールを,光ファイバで接続し,50Gビット/秒のデータ伝送を確認したという。

 Intel社は,Siで実現することで,将来的には従来の光デバイスに比較して大幅にコスト低減できると主張する。3~5年後をメドに,サーバやワークステーションの外部インタフェースのほか,ボード間接続などの用途に適用したい考えだ。このほか,ノート・パソコンやネットブックなど携帯機器の外部インタフェースとしての利用も見込んでいるという。

要素技術を組み合わせる

 Intel社はSiフォトニクスの研究開発に積極的に取り組んでおり,これまでに,Siレーザ素子や高速の光変調器,光検出器,導波路などを個別の要素技術として実現し,学会などで発表してきた(Tech-On!の関連記事 )。今回の光インタフェースの試作は,これまでの要素技術を組み合わせ,統合したICおよびモジュールとして実現したもの。さらに,送信モジュールと受信モジュールの間で,実際に高速に光信号のやりとりができることを示すことで,Siフォトニクスの実用化が近いことをアピールする狙いとみられる。Intel社は,「Siフォトニクスによってエンド・ツー・エンドの送受信リンクが実現されたのは,これが世界で初めて」(同社)としている。

 送信ICの発光素子には,Siと化合物半導体を一体化した電流励起型レーザ(Intel社はハイブリッド型Siレーザと呼ぶ)を用いた。米University of California,Santa Barbaraの研究グループと共同開発した技術を基にしており,InP基板上に形成したAlGaInAsの発光層とSi製光導波路などで構成する( Tech-On!の関連記事)。送信IC上にはこのレーザを四つ集積しており,それにあわせて設けた四つの光変調器(12.5Gビット/秒)で信号を変調する。発振波長の異なる四つのレーザ(1290nm,1310nm,1330nm,1350nm)の信号を,マルチプレクサで多重して光ファイバに結合させる。これにより,12.5G×4=50Gビット/秒の速度を得ている。

 受信ICには光カプラとデマルチプレクサを集積し,入力された光信号を四つの波長ごとにより分ける。集積する四つの光検出器で,それぞれ12.5Gビット/秒の電気信号に変換する。光ファイバを使って50Gビット/秒のデータ伝送を行ったところ,受信側でくっきりしたアイパターンが確認できたという。

 同社は今回の成果を基に,さらに高速化を図っていく考えだ。例えば集積するレーザ数を増やして波長多重度を上げたり,光変調器の変調速度を2倍に高めたりすることで,システムとしての最大データ伝送速度を1Tビット/秒程度まで高められると見込む。

Light Peakへの応用も

 Intel社は今回の発表を,あくまでも研究開発の一環としており,具体的な実用化の時期については明言していない。しかし,将来のアプリケーションの可能性については,「50Gビット/秒の速度があれば,HD画質の映画コンテンツを1秒で伝送したり,高画質の静止画1000枚相当を1秒で伝送したりできる」(同社 Photonics Technology Lab Director,Intel FellowのMario Paniccia氏)とするなど,民生用途を強く意識しているようだ。

 Intel社は現在,パソコンやテレビ,ネットブックなどに向けた光伝送のインタフェース規格「Light Peak」の開発と標準化を進めており,早ければ2011年にも対応機器が登場する見込みである( Tech-On!の関連記事)。Light Peakに関してIntel社は,コントローラICなどを手掛けるものの,光送受信モジュールなどは外部メーカーと協業して実現するとしている( Tech-On!の関連記事)。将来的には,今回のSiフォトニクスの成果を, Light Peakの光送受信回路に応用するという可能性もありそうだ。