産業動向関連ニュースの記事ランキングでは,上位10本中5本を「AppleとGoogleの与える業界へのインパクト」と題した連載記事が占めた。米UIEvolution Inc.の創業者である中島聡氏が2010年3月5日,同社の日本法人であるUIEジャパンが開催した「DTV/STB開発ソリューションセミナー」で講演した内容を紹介した記事である。講演の中で同氏は,米Apple Inc.と米Google Inc.の戦略を分析し,「Androidに安易に手を出すのは危険」など,エレクトロニクス技術者にとって示唆に富む指摘をした( Tech-On!関連記事1,同 関連記事2,同 関連記事3,同 関連記事4,同 関連記事5)。
▼ 2010年「産業動向」記事ランキング
この記事ランキングが象徴するように,米Microsoft Corp.と米Intel Corp.のいわゆる「Wintel」がエレクトロニクス業界に対して圧倒的に強い影響力を持っていた時代が終わり,米Apple Inc.と米Google Inc.が大きな影響力を持つようになってきた。エレクトロニクス機器の需要にも変化が見える。例えば,ノート・パソコンに変わって,スマートフォンやタブレット端末がモバイル機器市場を牽引する兆しが見えてきている。Apple社の「iPhone」や「iPad」,Google社のOS「Android」を搭載した携帯端末などだ。
スマートフォンやタブレット端末では,ノート・パソコン以上に電池駆動時間が付加価値となる。そこで,キー・デバイスと目されているのが,低消費電力の高精細ディスプレイやマイクロプロセサ,NAND型フラッシュ・メモリ,モバイルDRAM,ポリマー電池などである。例えば,韓国SamsungグループはAndroid搭載端末「Galaxy」を持つだけでなく,有機ELパネルやモバイルDRAM,NAND型フラッシュといったキー・デバイスで強みを発揮できる。台湾Taiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.(TSMC)も,スマートフォンやタブレット端末向けの半導体のファウンドリー事業で強みを発揮できる体制を築いている。一方,日本のエレクトロニクス企業は,急成長するスマートフォンやタブレット端末の需要をどう自社の収益につなげていくのか。2011年は,その戦略が問われる年になる。