NECは,高齢者の自発的行動などを促す「高齢者コミュニティ活性化技術」を開発した。独居高齢者や引きこもりという社会問題のほか,電子機器などを利用した情報収集に不慣れであるという高齢者の問題を解決する技術である。既に2010年末に奈良県で実証実験を行い,この技術の効果も確認しているという。
今回開発したのは,(1)自然かつ効果的にユーザー属性を取得して,高齢者に適切な情報提供を可能にする,(2)会話内容と類似の情報を抽出し,高齢者に話題を提供する,などを実現するソフトウエアである。これを同社が開発するコミュニケーション・ロボット「PaPeRo」に実装してシステムの構築を図り,実証した。
実験は,奈良県宇陀市において2010年11月17日~12月17日の期間,10軒の個人宅と5軒の施設で実施した。実験参加者へのアンケート結果では,8割以上の人が「知人や家族とのコミュニケーションが増えるなど,生活に変化があった」と回答した。また,高齢者の日常生活における行動量が増えるという結果も出たという。
今回の技術は,総務省のプロジェクト「高齢者・障がい者のためのユビキタスネットワークロボット技術の研究開発」の一環として進めてきた研究成果である。