テルモは,体内埋め込み型の人工心臓「DuraHeart 左心補助人工心臓システム」の国内販売を2011年4月1日に始める。保険償還価格は1810万円。2010年12月に厚生労働省の製造販売承認を受けており,今回の発売に至った。欧州では既に販売を始めている。
この補助人工心臓は,京都大学工学部 名誉教授の赤松映明氏とNTNが共同で考案した磁気浮上型遠心ポンプの技術を利用したもの。1994年から開発を進めていた。
左心補助人工心臓は,心筋梗塞や心筋症などにより心臓のポンプ機能が弱くなった重症心不全の患者が,心臓移植を待つ間,心臓の左心室の働きを補助する。今回の補助人工心臓は,ポンプ内部で血液を押し出す羽根車を,磁気で浮かせて回す独自の方式を採用している。これにより,血栓や血液損傷の原因となりやすい機械的な軸受けを排除した。
ポンプが体内埋め込み型であると同時に,ポンプ機能を制御するコントローラは肩からさげられるほど小型であるという。このため,補助人工心臓を利用している間,入院する必要がなく,在宅療養が可能になるという。
国内では,厚生労働省による「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」において,「植え込み型補助人工心臓」が対象テーマとして選ばれていた。