NTTドコモは,“健康気象”に関するサービスなどの提供に関して,環境保全のコンサルタントなどを手掛ける「いであ」と業務提携する。健康気象サービスは,人の健康や疾病に大きく影響する気象変動の情報を活用して,健康に関するリスク情報を提供するもの。今回の業務提携を踏まえ,今後,屋内外の熱中症対策に関する実証実験などを実施する予定である。
いであは既にこの分野において,気象庁のデータを用いた「バイオウェザーサービス」(健康予報サービス)を提供してきた。同社のノウハウに,NTTドコモの「環境センサーネットワーク」や携帯電話を融合させることで,パーソナル性の高い健康気象サービスの実現を目指す。環境センサーネットワークは,NTTドコモが2009年12月に試験運用を始めたもので,花粉の飛散量やCO2の濃度,紫外線の照度,気温などの気象情報といった大気情報を自動で測定・蓄積するシステム。同ネットワークを活用した花粉症の研究なども実施している(Tech-On!関連記事)。
NTTドコモといであは,大きく三つの取り組みを実施する。(1)熱中症対策に関する実証実験,(2)モバイル版「バイオウェザーサービス(仮称)」の提供,(3)今後の健康気象に関する検討,である。
(1)の熱中症対策に関する実証実験は,2011年7~8月に関東地方で実施する。実験対象地域の家屋や公共施設などに屋内センサーを試験的に設置し,熱中症対策に関する試験サービスを提供する。提供する主な試験サービスは,次の通り。
・黒球温度計を活用した日常空間における熱中症リスクハサードマップ
・熱中症の回避場所誘導サービス
・屋内センサーを活用した一般家庭への屋内熱中症アラートサービス
・福祉施設や病院,幼稚園などにおける熱中症リスクアラートサービス
(2)のモバイル版「バイオウェザーサービス(仮称)」は,いであが従来,パソコン向けに提供してきたサービスを,スマートフォンや携帯電話機に向けて提供するもの。2011年7月に開始し,利用料金は月額105円の予定である。NTTドコモの環境センサーネットワークによる環境情報の分布図を表示することもできるようになる。
(3)の今後の健康気象に関しては,生活空間の気象変動に起因するさまざまな健康リスクに対して情報発信できるサービスを,両社で検討していくという。