大日本印刷(DNP)は,同社とプラムシックスが共同開発した機密データのバックアップ保管システムが,千葉県がん登録室に導入され2011年3月31日に運用を開始すると発表した。この保管システムは,クラウドコンピューティングを利用するもの。データを暗号化すると同時に,三つのファイルに分割してバックアップを行う。このため,情報漏えいや災害などに対して高いセキュリティー性能を備えるとする。
がん治療に関しては,地方自治体ごとにがん登録室を設け,患者一人ひとりの診断結果や治療経過などのデータを保存・蓄積している。このような従来のがん登録室では,暗号化機能付きのハードディスクなどを利用してデータのバックアップを実施していた。しかし,災害などによって重要なデータが失われる危険性があったという。また,外部の専門業者へのバックアップの委託は,データの特殊性などからほとんど実施されていない。このため,情報漏えいと災害対策を兼ね備えたバックアップ保管システムが求められていたという。
DNPなどが開発したシステムは,こうしたニーズに対応するものとする。同システムは,DNPが独自に開発したデジタルデータ分割分散保管システム「TranC’ert DNA」を利用する。これは,元データを複雑な法則で三つのファイルに分割し,それぞれ異なる場所に設置された3台のサーバーに分散保管するシステムである。これにより,情報漏えいや災害対策に長けるとする。
DNPとプラムシックスは,このバックアップ保管システムに関連したビジネスにおいて,2013年までに累計5億円の売り上げを目指すという。