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 韓国のSamsungグループは,遺伝子組み換え技術を使うバイオ医薬品の事業に進出すると発表した(韓国語のニュース・リリース)。製薬開発支援会社である米Quintiles Transnational Corp.と,資本金3000億ウォン(約220億円)規模の合弁会社を設立する。新会社は2011年上期中にバイオ医薬品工場を着工し,2013年上期から生産を開始する計画である。

 新会社には,韓国Samsung Electronics Co., Ltd.が40%,グループの事実上の持ち株会社である韓国Samsung Everland Inc.が40%,韓国Samsung SDS社(サムスン物産)が10%,Quintiles社が10%をそれぞれ2012年までに出資する。当初は関節炎などを治療するためのバイオ医薬品を約600kg/年の規模で生産する。生産した製品の大部分を海外に輸出する計画である。

 新会社に必要な人材は,比較的性格が近い事業を持つ関連会社で公募するとともに,韓国内外のバイオ関連の学部と大学院の卒業生から選抜する。韓国国外の専門家も招く。当初から300人以上の規模で運営する計画である。ただ,工場の増設や事業の拡大に応じて,必要な人材はさらに増える見込み。こうしたバイオ製薬関連の人材活用育成の面でも,今回の新会社は多くの役割を果たすと,同グループは期待している。

 Samsungグループは2010年5月,「環境に優しいエネルギーとヘルスケア関連の新事業に,2020年までに23兆ウォンを投資する計画」を発表していた。同グループは,新会社でのバイオ医薬品事業とともに,バイオシミラーの開発を並行して進める。バイオシミラーとは,バイオ医薬品の特許が切れた後に先行薬に似せて製造する薬で,バイオ後続品とも呼ばれる。同グループは,2016年にはバイオシミラーを生産開始する予定である。

 さらに長期的には,バイオ創薬事業にも進出する計画である。Samsungグループは,今回のSamsungグループのバイオ医薬品事業と,Samsung Medical Center(サムスン医療院)の診療事業,Samsung Electronics社のIT技術を基盤にした医療機器事業を中心に,医療関連事業を推進するとしている。