米International Rectifier Corp.(IR)は,同社独自の「ワン・サイクル・コントロール(OCC)」方式を採用した力率改善(PFC:power factor control)制御ICに3品種を追加した(ニュースリリース)。いずれも「μPFCファミリ」を構成するICである。3品種のうち2品種はスイッチング周波数が固定で,一つはスイッチング周波数が66kHzの「IR1152S」,もう一つは22.2kHzの「IR1153S」である。残る1品種は,スイッチング周波数をユーザーが設定できる「IR1155S」。周波数の設定範囲は48k~200kHzである。外付けコンデンサで設定可能だ。出力電力が300W~8kWのスイッチング電源(AC-DCコンバータ)に向ける。具体的な用途としては,液晶/PDPテレビや,家庭用ゲーム機,エアコン,無停電電源装置(UPS)などを挙げる。
ワン・サイクル・コントロールは,連続電流モード(CCM)を採用した昇圧型DC-DCコンバータ回路を利用した力率改善制御方式である。特徴は,制御部にリセット機能付き積分器を採用している点にある。従って,従来のCCM採用のPFC制御ICで使っていたアナログ乗算器や入力電圧検出機能などが不要になり,プリント基板の実装面積や部品点数を削減できるとする。しかも,「十分に高い力率が得られる」(同社)という。
スイッチング素子は外付けで用意する必要がある。電源電圧範囲は,IR1152SとIR1153Sが+14~17Vで,IR1155Sが+12~20V。外付けのスイッチング素子に対するゲート駆動能力は,IR1152SとIR1153Sが±0.75A,IR1155Sが±1.5Aである。過電圧保護機能や,サイクル・バイ・サイクルの電流制限機能,オープン・ループ保護機能,低電圧ロックアウト(UVLO)機能,プログラム可能なソフトスタート機能,ブラウンアウト保護機能(IR1152SとIR1153Sのみ)などを搭載した。
パッケージは8端子SOP。動作接合部温度範囲は-40~+150℃。1万個購入時の米国での単価は,IR1152Sが0.50米ドル,IR1153Sが0.54米ドル,IR1155Sが0.57米ドル。リファレンス設計ボードも用意している。350W出力の「IRAC1152」の価格は170米ドル,300W出力の「IRAC1155」の価格は140米ドルである。