伊仏合弁ST Microelectronics社は,医療機器やハイブリッド・電気自動車用の充電器への適用を狙った,「超」消費電力チップ向けプロセス技術を実証したと発表した(ニュース・リリース)。SmartPM(Smart Power Management in Home and Health)という欧州のコンソーシアムで開発した技術である。
SmartPMは,EUのENIAC(欧州ナノエレクトロニクス・イニシアティブ諮問委員会)の枠組み内で結成されたコンソーシアムで,STMicroと欧州におけるパートナ17団体で構成される。17団体は,ベルギー,フランス,ドイツ,アイルランド,イタリア,オランダ,ノルウェー,スペイン,スウェーデンの9カ国の企業・学術機関という。
今回,実証チップの製造に使われたのは,SOI(silicon-on-insulator)基板を使うBCD(bipolar-CMOS-DMOS)プロセスで,0.16μmの露光技術を用いる。このプロセスを利用することで,完全な絶縁層分離を備えた高密度のロジック回路(1.8Vと3.3VのCMOS)と,最大耐圧が300VのパワーMOSFETトランジスタ,低雑音素子,高抵抗レジスタを1チップに集積できる。従来のバルクSi基板では不可能だった,ASICを実現可能だとする。
実証チップは,STと世界トップ・クラスのある医療機器メーカが協力して開発された。超音波スキャナ向けのチップである。今回のチップは100チャネル以上の処理が可能で,これを使うことで,数千チャネルを備えた次世代超音波スキャナが実現できるようになるという。なお,現行の一般的な技術では,1チップで8チャネル程度の処理しかできないとする。