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山形市浄化センターの屋外に設置したリン酸型燃料電池(PAFC)「FP-100i」
山形市浄化センターの屋外に設置したリン酸型燃料電池(PAFC)「FP-100i」
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 富士電機は、山形市浄化センターで実施していた下水消化ガスによる燃料電池の寒冷地冬季屋外運転の実証実験に成功したと発表した(ニュースリリース)。2011年1~3月に約2000時間の運転を行い、運転性能に問題がないことを確認したという。

 この実証実験では、同社のリン酸型燃料電池(PAFC)「FP-100i」を冬期寒冷地の屋外に設置。下水道処理時に発生する消化ガスによる発電モードで起動停止試験やパターン運転試験などを実施し、同環境下での運転性能を検証した。

 FP-100iは、燃料電池に必要な周辺機器を全て1つの筐体に納めており、筐体内の熱流体解析などにより機器の配置を最適化することで、-20~40℃の幅広い温度環境に対応可能となった。低騒音かつ低振動の燃料電池を屋外に設置できるようになれば、建屋が不要になるので、設置工事費の大幅な削減が図れる。

 実証実験期間中、2011年3月11日に東日本大震災が発生し、山形市浄化センターでは商用電力系統を2日間利用できなかった。しかし、その間もFP-100iは消化ガスによる発電を続けており、商用電力系統が復旧すると即座に通常運転に復帰できたという。同社によれば、今後も関東や東北では電力不足が予想されるが、新エネルギ供給システムとして国や地方自治体に発電施設を訴求していく。