米Adobe Systems社は、デジタル・コンテンツ作成ソフトウエア「Creative Suite(CS)」の新バージョン「5.5」を公開した(発表資料)。CS 5.5は、主に携帯端末向けコンテンツ関連の機能を強化した。Adobe社、Vice President兼General Manager, Adobe Creative Suite Design and Web SegmentsのDave Burkett氏は、「2014年にはデスクトップ・パソコン向けよりも携帯端末向けコンテンツの市場規模が大きくなる」と指摘し、「モバイル革命はもう現実のものになっている」と宣言した。
進化のスピードが速い携帯端末市場に合わせて、Adobe社はCSの新バージョンを公開する戦略を変えたという。同社はこれまで、CSの「.0」バージョンを18カ月ごとに公開していた。今後は「.0」バージョンを2年ごとに公開し、その間に「.5」バージョンも公開することにした。CS 5.5はこうした新戦略に沿った、最初の製品である。
携帯端末に注目するアプリ開発環境
CS 5.5では、統合開発環境の「Flex 4.5」や「Flash Builder 4.5」に、「Android」や米Apple社の「iOS」、カナダResearch In Motion社(RIM社)の「BlackBerry Tablet OS」対応の携帯端末向けのコンテンツを作成する機能を加えた。(発表資料)。FlashBuilder 4.5には、携帯端末向けアプリのデバグ機能を追加した。
さらにCS 5.5のWebコンテンツ開発環境「Dreamweaver」にも、HTML5を利用した携帯端末向けのコンテンツ作成機能を加えた(発表資料)。
タブレット端末をコンテンツ作成に役に立つ
エレクトロニクス業界では、タブレット端末について特にコンテンツを楽しむのに向くデバイスとの見方が多い。Apple社はこうした意見に不満を抱いている(Tech-On!関連記事)。つまり、タブレット端末はコンテンツを楽しむだけでなく、コンテンツや文章を作成するのに向くデバイスと位置づける。そこで、Apple社はiPad 2の発表で、コンテンツ作成関連のアプリを強調した。
Adobe社も、Apple社と同様の見解を持っているようだ。CS 5.5は写真編集ソフトウエア「Photoshop」を含んでいるほか、携帯端末上で動作するPhotoshopと連携するアプリを開発できるSDK「Photoshop Touch Software Development Kit」も同時に公開した(発表資料)。
このSDKの可能性を示すため、Adobe社はタブレット端末向けの「Adobe Color Lava」や「Adobe Eazel」、「Adobe Nav」のアプリを開発した。例えば、Adobe Color Lavaなら、Photoshopで利用可能な色を設定することができる。
またCS 5.5に含まれるソフトウエア「Design Premium」には、タブレット端末に向けて写真や動画を含むインタラクティブの電子雑誌や電子書籍を開発ができる機能が加えられた(発表資料)。