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「ラムフォーム・Wクラス」 (PGS社の提供)
「ラムフォーム・Wクラス」 (PGS社の提供)
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 三菱重工業は、大手資源探査会社のノルウェーPetroleum Geo-Services ASA(PGS)から3次元海底資源探査船を受注、2011年4月14日に現地で契約書に調印したと発表した。受注したのは、PGS社が「ラムフォーム(Ramform)・Wクラス」と呼んでいる新型3次元海底資源探査船。今回の契約には2隻の受注に加えて2隻のオプションが付いており、最大で4隻の受注になる可能性がある。引き渡しは2013年春から順次実施する予定。

 PGS社は1991年の設立で、現在は16隻の探査船を保有・運用している。自社探査船団の強化と海底資源探査業界における一層の競争力向上を狙って新型船の導入を決め、世界中の造船会社からの提案を募集して発注先の選定を進めていた。三菱重工はこれに応募、今回の受注にこぎ着けた。三菱重工は「当社はこれまで各種の海洋調査船や練習船、ケーブル敷設船を数多く手掛けるなど、日本の造船会社の中では特殊船舶について最多の実績を持っている。そうした当社の長年にわたる造船の経験によって培われた多種・多様な総合技術力とブランド力が評価され、受注につながった」とコメントしている。

 今回、受注したラムフォーム・Wクラスは、約104mの全長に対して最大船幅が70mと広く、探査能力が広範囲という特徴を持つ。3次元海底資源探査船は、船尾から海に送り出した長さ数kmのストリーマ・ケーブル(ハイドロホンと呼ばれる振動センサーを内蔵したケーブル)を引っ張りながら進む。このとき、音源から音波を発して海底面や地層境界に当たって跳ね返ってくる反射波をストリーマ・ケーブルで受信、これによって地層構造を3次元的に解析する。海に送り出すストリーマ・ケーブルは、その本数が多いほど1度に探査できる範囲が広くなる。そこでPGS社は、船尾部分の幅を従来に比べて30m広い70mにしてストリーマ・ケーブルの本数を最大24本と大幅に増やした。なお、今回の探査船はディーゼル発電機による電気推進であり、航行時の静粛性に優れていると三菱重工は言う。

 三菱重工は、船舶・海洋事業の新事業戦略として、海洋分野の拡大を狙う方針を打ち出している(Tech-On!関連記事)。このため、今回の受注を弾みにして「国内外における特殊船舶の需要開拓を積極的に進めていく」方向である(発表資料)。