PR
SCEの吉田氏
SCEの吉田氏
[画像のクリックで拡大表示]
背面タッチ・パッドを生かしたアプリケーション。地面を隆起させて玉を転がしている。2011年1月の発表会の様子
背面タッチ・パッドを生かしたアプリケーション。地面を隆起させて玉を転がしている。2011年1月の発表会の様子
[画像のクリックで拡大表示]

 ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は2011年6月に開催されたゲーム業界の世界最大級の展示会「E3」で、携帯型ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」の次世代機となる「PlayStation Vita」の追加情報やPS3用周辺機器として3Dディスプレイなどを発表した(Tech-On!関連記事1 )。こうした発表内容について、同社 Worldwide Studios プレジデントの吉田修平氏に話を聞いた。(聞き手:根津禎=日経エレクトロニクス)

――なぜ、PS Vitaの価格を約2万5000円からとしたのか

吉田氏:2008年に携帯型ゲーム機の次世代機に関して会議し、主要メンバーで目標を話し合った。ここで、2万5000円という目標価格を決めた。今回は技術的、機能的にやりたいことを盛り込んでから価格を決めるのではなく、2万5000円という価格を目標に据え、その制約の中でハードウエアの仕様や搭載する機能などを決めていった。例えばCPUやGPU、タッチ・パネル、カメラ、各種センサなどだ。何度か試作機を作りながら、実際に試し、その取捨選択をしていった。

――コスト重視の中で、背面タッチ・パッドの導入はかなり挑戦的だと思える

吉田氏:背面タッチ・パッドは、ハードウエアの開発チームからの提案だった(Tech-On!関連記事2同3)。確かにコスト的な制約がある中で、最初は背面タッチ・パッドを採用する優先順位は低かった。ところが、背面タッチ・パッドを搭載した試作機を作り、そこに背面タッチ・パッドを生かしたアプリケーションを制作して操作してみたところ、触った瞬間「これは新しい」と思った。例えば地面を隆起させて玉を転がすアプリケーションだ。この結果、背面タッチ・パッドを導入することを決めた。

 もちろん、何か新しい部品や機能を入れたら、何かを外さないと目標の価格を実現できない。背面タッチ・パッドを採用したことで、取り除いた機能もある。

 また、背面タッチ・パッドは当初、前面のディスプレイとまったく同じ大きさで、かつ正対した位置に配置しようとした。ところがアンテナのために、背面タッチ・パッドの大きさをディスプレイよりもやや小さくしなければならなくなった。そのため、ディスプレイの下側の反対側には、背面タッチ・パッドはない。この課題は、ゲーム・ソフトウエア上や画面表示の工夫などで対処できるので大きな問題ではないと考えている。

――あらかじめ目標価格が決まっていたにもかかわらず、なぜ2011年1月の発表の段階で価格を公表しなかったのか。

吉田氏:内々で決めていたとはいえ、本当にその価格で販売できるのかどうか2011年1月の段階では100%見えていなかったからだ。また、タイミング的にまだ言わなくてもよいとの判断もあった。

――PS VitaはPS3などと比べると、汎用品を多用している感じを受ける。コスト削減のためか

吉田氏:確かに、今回は汎用品をベースにしてカスタマイズしたCPUやGPUなどを搭載している。汎用品をベースにしたものを搭載する利点は二つある。一つはその汎用品を利用したハードウエアを使って、ゲーム開発をした経験のある開発者が多いということ。これにより、PS Vita向けゲームの開発効率が向上する効果があると考えている。また、過去のソフトウエア資産を生かすこともできる。

 もう一つがコスト削減だ。量産効果が出て安価になる。専用品を使わず、汎用品をベースにしたことに批判もあったが、機能とコストのバランスをとるためにはそれが効果的だった。

SNSを意識