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 2011年6月15日、東京証券取引所は「モルフォ(東京都文京区)の東証マザーズへの上場を承認した」と、発表した。株式上場は7月21日の予定である。モルフォは、東京大学発ベンチャー企業として急成長している企業の1社であり、大学発ベンチャー企業のIPO(新株上場)数は、2008年9月のリーマンショック後のここ数年間は低調だっただけに、IPO後の同社の成長が注目されている。

 モルフォは、2002年3月に東京大学大学院理学系情報理工学系研究科(博士課程)を修了した平賀督基氏(現・代表取締役社長)などが2004年5月に共同で創業したベンチャー企業。携帯電話機向けなどのデジタル画像処理技術の研究開発事業を展開している。モルフォは創業直後の2004年9月に東京大学が本郷キャンパス内に設けたインキュベーション施設の産学連携プラザに本社を移し、研究開発を進めると同時に、事業内容を再構築し続けた。

 同年9月に東京大学系のベンチャーキャピタルである東京大学エッジキャピタル(UTEC、東京都文京区)は、モルフォに第三者割当増資を実施して研究開発資金を拡充するなど、創業直後からハンズオンによる事業モデルの構築支援を始めていた。

 2004年10月にモルフォはデジタル画像処理のコア技術となった、画像処理による静止画6軸手ぶれ補正技術「PhotoSolid」と動画4軸手ぶれ補正技術「MovieSolid」を開発したと発表した。2006年6月にNTTドコモが「PhotoSolid」を携帯電話機に採用し、同年11月には続いて「MovieSolid」を採用した。2007年10月にモルフォはNTTドコモと業務資本提携をしている。この結果、モルフォが開発した携帯電話機向けの画像処理ソフトウエアの搭載ライセンス数は累計で2011年4月末時点で3億ライセンスを突破した(2011年5月に発表)。

 モルフォは、東大系VCの東京大学エッジキャピタルの投資先企業の1社である。ほぼ同時期に東京大学エッジキャピタルの投資先企業の2社もIPOを発表した。6月11日に、投資先企業の1社であるラクオリア創薬(愛知県・武豊町)は「大阪証券取引所が大証JASDAQグロースへの上場を承認した」と発表した。株式上場は7月20日の予定。同社は新薬の化合物を開発する創薬ベンチャー企業で、元々は米国ファイザー社の研究開発グループの一翼を担ってきた、日本側の中央研究所が独立した企業である。実際には、3月に株式上場する計画だったが、東日本大震災が起こったために延期していたもの。

 6月24日には、メビオファーム(東京都港区)が「TOKYO AIM取引所から上場が承認された」と公表した。TOKYO AIM取引所は、東京証券取引所とロンドン証券取引所が合弁で設立した新たな証券取引所である。株式上場は7月15日の予定。同社は、ガンの治療薬として働くDDS(薬物搬送システム)のリポソーム化をコア技術とする製薬企業で、米国などで臨床治験を実施している。

 東京大学エッジキャピタルは現在、二つの運営ファンドを設立し運営している。一つは2004年7月1日に設立したファンド「ユーテック一号投資事業有限責任組合」で、83億400万円の投資を集め、有望視されるベンチャー企業に投資中である。存続期間は2013年12月31日までの予定。もう一つは 2009年7月31日に設立したファンド「UTEC2号投資事業有限責任組合」で、76億4800万円の投資を受けた。新規投資期間は2014年7月30日まで、存続期間は2019年6月30日までの予定である。ファンドの運営方針として、「有望な投資先企業には、成長に必要なマイルストーン投資を適宜実施する」としている。