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 米Adobe Systems社は、同社の「Flash Player」に関して、携帯端末およびAV機器向けの技術開発を中止する方針を明らかにした(同社の公式ブログ)。Flash Playerは、Flash技術で作成した動画などのコンテンツを、Webブラウザなどで再生するためのソフトウエア。Adobe社は今後、携帯端末やAV機器向けに関しては、HTML5の技術開発に注力するという。なお、パソコンのWebブラウザ用途のFlash Playerの技術開発は、今後も継続していくとしている。

 同社の公式ブログによれば、「HTML5は、主流の携帯端末の多くで採用される。携帯端末のWebブラウザ向けとして、HTML5は最も優れている」と指摘する。

 Adobe社は今後、携帯機器向けにFlashを使ってコンテンツを作成する開発者に対して、同社の「AIR」技術を採用するソフトウエア・アプリケーション(以下アプリ)を開発することを推奨する。

 携帯端末ブラウザ向けの最後のFlash Playerのソフトウエアは「バージョン11.1」となる。なお、Adobe社からFlashのソースコードのライセンスを既に受けている企業は、今後、Flashを採用する技術の開発を進めることは可能としている。

業界に驚き

 Adobe社の決定に対して、業界関係者からは驚きの声が漏れる。米ロサンゼルス市で2011年11月7日~9日に開催されたWeb技術関連イベント「Streaming Media West」、「HTML5 Video Summit」の参加者からは、「報道されるまで、今回のAdobe社の決定を知らなかった」(動画コンテンツ配信アプリを開発する、米Comcast社、Comcast Interactive Media、Senior Vice President and General ManagerのMatthew Strauss氏)という声も聞かれた。

 ストリーミング動画関連の本の執筆で知られるRobert Reinhardt氏(videoRx.comのFounder)は、様々な携帯端末プラットフォーム向けに個別のFlashプレーヤー・ソフトウエアをそれぞれ開発する負担が大きいことが、今回の決定の背景にあると分析する。

 Reinhardt氏は加えて、HTML5の規格自体はまだ完成していないため、Flashに対応している機能の多くはHTML5では未対応だと指摘した。例えば、「adaptive bitrate streaming」と呼ばれる動画のデータ速度を適応的に制御する機能は、HTML5では未対応とみられるという。