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 パソコンや液晶テレビなど電力消費量の削減要求が厳しくなる機器に向けて、待機電力を小さく抑えられるPWM制御IC「FAN6756」を発表した米Fairchild Semiconductor社(Tech-On!関連記事)。投入電力75WまでのAC-DC変換回路に向けたこのPWM制御ICは、同回路の待機電力を最大30mWに抑えられるとする。同社従来品の同50mWに比べて大きく下げている。競合他社品に比べて「待機時の消費電力が小さいこと、通常動作時の効率が高いこと、外付け部品が少なく回路設計が容易かつ信頼性が高いこと、の3点が優れている」(フェアチャイルドセミコンダクタージャパン マーケティング部 PCIA マネージャーのByoung-Choi Lim氏)という。こうした特徴を備えるために今回用いた低消費電力化技術「mWSaver」の詳細を、Lim氏に聞いた。

 Lim氏によれば、PWM制御ICを用いた投入電力75WまでのAC-DC変換回路の待機電力は、100mW、70mW、50mW、そして30mWと新製品に切り替えるごとに下がってきたという。今回の品種ではmWSaverを構成する技術の中で「ダイナミック・シャットダウン」「ディープ・バースト・モード」「AX-CAP」の大きく三つが大きな効果を発揮したとする。AC-CAPは同社従来品では採用しておらず、他の技術は同社従来品でも用いていたが今回はさらなる最適化を図った。

駆動電流を下げ、スイッチング頻度を減らし、周辺回路を取り込む


 ダイナミック・シャットダウンとは、負荷によってPWM制御ICに流す電流を切り替えるものである。通常動作時は2.3mAであるが、軽負荷時は0.7mAに下げる。さらに無負荷時には0.2mAへ引き下げて間欠動作モードに移る。

 この駆動電流引き下げに加え、無負荷時に機能するのがディープ・バースト・モードである。無負荷であることを検知すると、電源回路の2次側の負荷状況を1次側に伝えるフィードバック回路のインピーダンスをIC内部の回路を使って高くし、スイッチングの頻度を下げることで消費電力を減らす。具体的には、インピーダンスが8kΩだったところを90kΩに高め、500Hz以上で間欠動作させていたスイッチングを、10Hz未満という広い間隔での動作に変える。これにより、スイッチング損失を1/50程度に減らせるという。なお、ディープ・バースト・モードからの復帰時はインピーダンスを一気に下げるのではなく、86kΩ、81kΩ、75kΩ、・・・、18kΩ、12kΩ、10kΩ、8kΩと小刻みにインピーダンスを下げていく。こうすることで、AC-DC変換回路の故障を防ぐ。

 AX-CAPは、電源回路の1次側に設けるEMIフィルタ用コンデンサの放電回路をPWM制御IC内に集積、かつ通常動作時は放電回路にある放電抵抗を回路から切り離して放電抵抗での電力消費をなくすという技術である。EMIフィルタ用に用いるコンデンサは、AC-DC変換回路がACラインから切り離されたときにコンデンサ内の電荷を放電する必要があり、そのために放電抵抗が設けてある。だが、放電抵抗には通常動作時に電流が流れるので、電力損失が生じる。それを避けるためには、一般に放電抵抗を回路から切り離すスイッチを設けるのであるが、スイッチやスイッチの駆動回路を外付け部品で構成してきた。今回のPWM制御ICはこうした外付け部品で構成してきた部分をICに集積したことで、外付け部品を15個減らせた。これにより、AC-DC変換回路の部品コストを最大0.3米ドル減らせ、部品点数が減ったことで回路の長期信頼性が高まり、かつ回路設計の手間が軽減されるという。

 フェアチャイルドセミコンダクタージャパンによれば、日本で既に一部メーカーにFAN6756の紹介を始めており、製品評価も進んでいるとする。海外では日本に先行して評価が進み、一部のメーカーはFAN6756を用いたACアダプタの出荷を開始しているという。

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