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写真1●左から、日経BP社 執行役員・ビジネス局長の浅見直樹、日産自動車 ゼロエミッション事業本部 ZEV企画グループ部長の牧野英治氏、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新産業・社会システム推進室 室長の小見山康二氏、東日本大震災政府復興構想会議 委員で、イーソリューションズ 代表取締役社長の佐々木経世氏、日本電機工業会 重電部長の松尾慶一氏、日本電気計測器工業会 エネルギー・環境政策委員会 委員長の石隈徹氏。著者が撮影。
写真1●左から、日経BP社 執行役員・ビジネス局長の浅見直樹、日産自動車 ゼロエミッション事業本部 ZEV企画グループ部長の牧野英治氏、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新産業・社会システム推進室 室長の小見山康二氏、東日本大震災政府復興構想会議 委員で、イーソリューションズ 代表取締役社長の佐々木経世氏、日本電機工業会 重電部長の松尾慶一氏、日本電気計測器工業会 エネルギー・環境政策委員会 委員長の石隈徹氏。著者が撮影。
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写真2●満員となったラウンドテーブルセッションの会場。著者が撮影。
写真2●満員となったラウンドテーブルセッションの会場。著者が撮影。
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 日本電気計測器工業会(JEMIMA)が主催している「計測展2011 TOKYO」(11月16~18日、東京ビッグサイト)において、次世代のエネルギー技術と未来の社会を占う「日本の復興に向けて」と題するラウンドテーブルセッションが開催された。3月11日の東日本大震災の後、エネルギーに対する日本の意識がガラリと変わり、次世代の社会を支えるエネルギー関連技術が、技術開発だけでなくビジネスとしても急速に現実のものになりつつあることを感じさせた。

 このラウンドテーブルは、政府と産業界のキーパーソンが、日本のこれからのエネルギー政策と産業界の役割について意見を交換し、新しいエネルギー社会として生まれ変わる日本の未来について議論することで注目を集めた。

 討論者は、経済産業省 資源エネルギー庁 省エネルギー・新エネルギー部 新産業・社会システム推進室 室長の小見山康二氏、東日本大震災政府復興構想会議 委員で、イーソリューションズ 代表取締役社長の佐々木経世氏、日産自動車 ゼロエミッション事業本部 ZEV企画グループ部長の牧野英治氏、日本電機工業会 重電部長の松尾慶一氏、日本電気計測器工業会 エネルギー・環境政策委員会 委員長の石隈徹氏である。以降では、討論での主なやり取りを紹介する。質問は、ファシリテータを務めた日経BP社 執行役員・ビジネス局長の浅見直樹からのものである。

――3月11日の東日本大震災の後、エネルギーに対する日本の意識に変化はあったか。

経済産業省の小宮山氏 エネルギーの問題に対する理解が高まったように感じている。ピーク時の電力需要に現実的に対応し、今日使う電力があるのかないのかという、自分たちの問題になったからである。エネルギーを安定して、安全に供給することの重要性にも、改めて認識が高まったように思う。これまでは、エネルギー問題は将来の課題ととらえられていた。

日産自動車の牧野氏 阪神淡路大震災と今回の東日本大震災のそれぞれにおいて、主な地域で、電気は震災後3日以内に復旧したのに対し、ガソリンスタンドの復旧には約3週間を要している。今回われわれは被災地において、ガソリンを確保できない時期に、電気自動車「リーフ」66台を投入した。このリーフが、ガソリン不足のために診療へ出向くことができなかった医師の移動に役立った。実際の貢献を目の当たりにして、電気自動車の可能性にさらに自信を持ち、リーフに搭載する電池の高性能化をさらに加速させることになったほどである。

日本電気計測器工業会の石隈氏 以前から日本の産業界の省エネへの意識は高かった。特に、鉄鋼や自動車といったエネルギーを多く使う産業において、世界レベルで高い競争力を発揮する原動力の一つになってきた。今回の震災で、こうした意識の高さに注目が集まったほか、省エネを支える要素技術もクローズアップされつつある。

――世界各国・地域のスマートシティ構想について感じることは何か。

東日本大震災政府復興構想会議の佐々木氏 スマートシティの構築に必要な技術は、エレクトロニクスなどと同じように日本で開発されたものが多く、特許の件数も日本に多い。しかし、エレクトロニクスの分野では、日本企業が世界の市場でその強みを生かしきることができなかった。パソコンや携帯電話機のビジネスが象徴的である。スマートシティでも同じことが繰り返されるのではないかと、心配している。

 スマートシティを手がける多くの国・地域において、欲しい技術を持つパートナーが現れると、現地の企業と連携した上で参画させ、その技術を吸収しようとする動きが見受けられる。資金と実証の場を強力にコントロールすることで、こうした活動を行う。日本企業の技術も対象である。日本企業の技術が海外に吸収されないように、日本国内にスマートシティのショーケースを作り上げて、世界に発信できるようにしたい。

――今後のエネルギー産業にふさわしいのは、垂直統合型の事業か、それとも水平分業型の事業か。

日本電機工業会の松尾氏 現在の電力ビジネスは、発電側から消費側に向かう一方通行的な構造になっている。スマートグリッドを実現するためには、例えば、家庭で発電した電力をスマートグリッドに供給するインフラを整えないと、需給バランスを維持することが難しいだろう。産業の力は、やはり電力があってこそのものである。安定的に、必要な量を供給できるような事業の姿が模索されるだろう。

東日本大震災政府復興構想会議の佐々木氏 もしかすると、世界的に最後の大規模な産業が環境やエネルギーの分野なのかもしれない。ここで培われた技術や事業をどのように次世代につなげていくのか、国の将来を左右する分野になるように感じている。このため、技術や事業のあり方など、どのようなことが起きうるのか、今からオープンに議論することが重要である。

経済産業省の小宮山氏 まず、1社ですべてを賄うことができない分野である。このため、複数の企業を束ねるプロデューサー的な機能が重要になるだろう。技術があれば売れるとは限らないため、事業として難しい。プロデューサー的な役割を機能させてソリューションとしてまとめきらない限り、エネルギーの市場を獲得することはできない。

――今後に向けた取り組みや着目点は。

日産自動車の牧野氏 電気自動車の事業で苦労しているのは、欧州による規格化である。技術をいくら開発しても、規格の観点から足元をすくわれないような仕組みづくりに注力していく必要がある。

経済産業省の小宮山氏 東北の復興をしっかりと進めていくことである。何カ所かスマートシティを実際に構築していく。実証ではなく実際のスマートシティを作ることで、世界からの注目度は、これまでとは違ったものになるだろう。

日本電機工業会の松尾氏 補助金などをなくした状態で、グリッドパリティを満たす再生可能エネルギーを実現することである。日本には、こうした技術で、世界の先頭を走り続けてもらいたい。

日本電気計測器工業会の石隈氏 世界中で普通に取り扱ってもらえる技術に位置づけられるための取り組みに関心がある。技術面で世界一だったとしても、世界の市場では通用しない場合があるからだ。例えば、スマートグリッドならば、異常時への対処方法などを確認したり、その際の安全を保証するための機能などを国際的に標準化したりしていくことなどである。